小説を書かない小説家

その日その時その瞬間 感じたことを文章に あたたかい感触とともに ずっと残るように

NOT WAVING BUT DROWNING

2007-10-09 11:49:06 | Weblog
誰も彼には気づかない
最後の彼のサインには
だだ手を振っているんではない
おぼれているのだ


いつも陽気なあいつが
沖のほうから手を振っている
俺達も手を振り返す
それでもあいつは手を振り続けている
そんなに海が楽しいか
いつも陽気なあいつらしい

そうではなかった
溺れていたのだ
あいつは死んだ
海の冷たさが
あいつの心臓をいかれさせちまったんだろう


そうじゃない
そうじゃないんだ
僕はいつも冷たかった
いつだって手を振っていた
僕はいつも助けを求めていた


彼は手を振っていたのではない
おぼれていたのだ
ずっとおぼれていたのだ


Stevie Smith
Not Waving but Drowning
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