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台風一家

いっくん非常用ボートを作る

学校の帰り道、家を建築中の場所があり、そこの前に「ご自由にお持ち帰りください」と書かれた立札とともに、材木の切れ端が置かれていたらしい。

ある日、いっくんが嬉々とした表情で両腕に木材を抱えて帰宅した。

そう、いっくん大好きな工作の材料として持ち帰ったようなのである。

その後も大量に木材を持ち帰り始め「そんなにたくさんどうするの!」とたしなめたのだが、「おっちゃんがな、振り回したり、そこらへんにおいて帰ったりせえへんかったらいくら持って帰ってもいいねんて!!」と全く収まる気配がない。

何往復もして、大量の木材を持ち帰った。

「これはな、緊急用のボートやねん!!木は水に浮くやろ?これで地面も走れたら『水陸両用』や!大雨が来たらこれで逃げたらええしな。おじいちゃんちは海の前やから、危ないし作ってあげるねん。おばあちゃんもひいばあちゃんも乗れるように作らんとな」とテンションも高く夢中で作り始めた。

連日の大雨の衝撃的なニュースや、東日本大震災の映像に小さいながらもショックを受けていたのかもしれない。

ドリルを持ち出し、木ねじで必死に木材の切れ端をつなぎ始めた。

「ドリル、出して、うちにあるやろ!ドリル、ドリル!!」と騒いでいたところを見ると、工事現場のおじさんがどのような工具で作業していたのかを、しばらく眺めていたか、色々話しかけていたかと思われる・・(迷惑)

夕方、晩御飯の時間ギリギリまで、朝ごはんを食べたらすぐに庭に飛び出しドリルとのこぎりで必死に「緊急ボート」の作成を急いだ。

「いつ雨が降ってもいいように、早くせんと・・・」と本当に必死で。

蚊にかまれながら、陽に焼けながら、大量の木材と格闘すること二日。

切れ端をつなぎ合わせたボートが出来上がった。

2人・・・・乗れるの・・・?え・・・これ、ボート??

いろいろ突っ込みどころは満載であったが、そこはそれ、7歳のドリルさばきはこんな感じである。

初めはおじいちゃんたちに・・と作っていた(らしい)ボートだったが、出来上がった物を見て「これは・・・おじいちゃんは大きいから乗られへんかもな・・・・・これに2人乗れるから、うちは4人家族やから2個作ればええやろ。」と目的が少し変わった。

実に満足そうないっくんが次に欲しがったのは「コロ」。

ボートの下につけて走れるようにするんだとか。

結局近くのホームセンターで1000円以上もかけていっくんが欲しがった4個のコロを買い、帰って接続。高い・・・・。

無事に完成!

走りを試すいっくん。

意外とスイスイ進む。

「おぉぉぉぉぉ~」と思わず声が漏れる。

坂道は割と速度が付くので、見ている私はハラハラし通しである。

結局自分で進むのは大変、と悟ったいっくんは木ねじを新たに先端部分に打ち込んで紐をつけ、私に引っ張らせることにしたようである。

『近所のボクがまた、変なものに乗っている・・・・・』

ご近所さんが興味深そうに寄ってきてはいっくんに声をかけてくださり、いっくんはその度に自慢の緊急ボートを自慢した。

おばさんが「こんなに工作が好きなのは誰に似たの?お母さん?お父さん?」といっくんに聞くと、いっくんはしばらく考えてから「おじいちゃん」と答えた。

本当はおじいちゃんが実際に作った船のような物を作りたかったのかもしれない。

大きくて、強くて、何でも作れるおじいちゃんは、いっくんの憧れなのだ。

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