川崎あたりを歩いていた
~次がダメだったら諦めるしかないな~
冷たい風が頬を切るように吹き付ける
狭い路地をぬけて
大学時代の友人が経営する通信機器の会社に着いた
「用立てしたいのは山々だけど、うちも精一杯なんだ・・・すまん」
暗い階段をあがったその部屋には
覇気は感じられなかった
狭い路地を戻る
焼き鳥の煙に包まれる
腹がなった
しかし、ここで一杯やる金もない
行き交う人々の笑い声が、僕をさらに不幸にする
迷路のような狭い路地をぐるぐると回る
何度も同じ道を通っているような感覚になった
~迷ったな~
前を見たり、振り返ったり、右を見たり、左を見たり
「ちょっと、あなた」
その声は後ろからやってきた
声の方向に目をやると
黒いベールに黒い服を着た女が
赤い布をかぶせた台を前に置いて座っていた
~占いか~
「僕のことですか?」
「そう、こちらにいらっしゃい」
黒い手袋が僕を手招きした
「すみません。占ってもらうだけのお金がありません」
「わかっているわ」
女の表情がわからない
「この中に手を入れて」
女は、黒い天鵞絨の袋を僕の前に差し出した
「石を6つ取り出して」
僕は、赤い布の上に、6つの石を転がした
「なるほどね」
ベールの奥の目が笑ったように見えた
~次がダメだったら諦めるしかないな~
冷たい風が頬を切るように吹き付ける
狭い路地をぬけて
大学時代の友人が経営する通信機器の会社に着いた
「用立てしたいのは山々だけど、うちも精一杯なんだ・・・すまん」
暗い階段をあがったその部屋には
覇気は感じられなかった
狭い路地を戻る
焼き鳥の煙に包まれる
腹がなった
しかし、ここで一杯やる金もない
行き交う人々の笑い声が、僕をさらに不幸にする
迷路のような狭い路地をぐるぐると回る
何度も同じ道を通っているような感覚になった
~迷ったな~
前を見たり、振り返ったり、右を見たり、左を見たり
「ちょっと、あなた」
その声は後ろからやってきた
声の方向に目をやると
黒いベールに黒い服を着た女が
赤い布をかぶせた台を前に置いて座っていた
~占いか~
「僕のことですか?」
「そう、こちらにいらっしゃい」
黒い手袋が僕を手招きした
「すみません。占ってもらうだけのお金がありません」
「わかっているわ」
女の表情がわからない
「この中に手を入れて」
女は、黒い天鵞絨の袋を僕の前に差し出した
「石を6つ取り出して」
僕は、赤い布の上に、6つの石を転がした
「なるほどね」
ベールの奥の目が笑ったように見えた