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土壌分析における前処理(検液の作成)方法とは・・・

2009-06-30 19:31:56 | 技術情報 土壌・産廃分析

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こんにちは、ミル蔵です。

今回は土壌分析について見ていきたいと思います。

土壌汚染対策法が施行されて6年が経過し、これからの

法の改正に向けた動きが気になるところですね。

当社も、土地取引の際に発生する問題などから、指定

調査機関や計量証明事業所として、精度や質が求められ

ていることを痛感しています。

土壌分析の精度は、機器分析での精度も重要ですが、

実は前処理(検液作成)の工程もとても重要なんです。

どんなに正確な機器分析が出来ても、前処理(検液作成)

が正確に行われていないと、正確な分析結果をご提供

することは出来ないんです。

そこで、機器分析の前工程にあたる検液作成の方法

(環境庁告示第46号(平成3823日))について

レポートしていきます。

VOC(揮発性有機化合物)の前処理についてはまた別の

 機会にご紹介したいと思います。


検液作成の方法は大きくわけて
4つの工程にわかれています。


①風乾(土壌試料を自然に乾かす工程)

 まずは風乾から・・・。

  1_2  →  2

   風乾前試料     風乾後試料

採取された土壌は、試料によって土質や含水量(含まれる

水分の量)はさまざま。

公定法では、試料を強制的に乾かすことが出来ないので、

含水量が多い試料では、試料が乾くまでに3もかかること

があるんです。

また、試料ごとに専用のBOXを使用することで、風乾時の

コンタミネーション(試料間の汚染)を予防しています。

②粗砕・ふるい分け・試料の混合

 試料の風乾が終ったら、今度はふるい分けです。

 土壌の試料にはいろいろな性状がありますが、石などを

  砕かないように、木片が混入しないように公定法に従って

 11つの試料を丁寧に取り扱って正確な前処理を実践して

 います。

 公定法では2mm以下の試料だけが分析の対象になるんですね。

  3

    ≦2mm >2mm

    ふるい後試料

 土壌汚染対策法に準拠した調査では、5地点混合方式の各

 地点でGL-0-0.05m(地表面から5cm)、GL-0.05-0.50m

 (地表面下5cm50cm)の試料を採取するので、1検体の

 前処理をするのに合計10試料分の前処理を行ってから等量

 混合します。

 

 1検体の試料を前処理するのもひと苦労ですね。

③抽出

 今度は、2mm以下になった土壌試料から対象物質を水のほう

 に抽出させる工程です。

  4_2

   抽出後の懸濁液

 

  試料(土壌)を1に対して溶媒(pHを調製した純水)を10の

 割合で混合して6時間振とうします。


④ろ過

 抽出が終わると、前処理最後の工程となるろ過です。

  5_3

   ろ過後の検液

振とう後の懸濁液は、静置・遠心分離した後、孔径0.45μmの

メンブランフィルターでろ過をします。

これで検液の完成です。

 ここからようやく、各項目の分析がスタートできるんですね。

 いかがでしたか?

 検液の作成にこれほどの手間をかけているのも正確な分析結果

  をご提供するためなんですね。

 

 

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