こんにちは、ミル蔵です。
今回は土壌分析について見ていきたいと思います。
土壌汚染対策法が施行されて6年が経過し、これからの
法の改正に向けた動きが気になるところですね。
当社も、土地取引の際に発生する問題などから、指定
調査機関や計量証明事業所として、精度や質が求められ
ていることを痛感しています。
土壌分析の精度は、機器分析での精度も重要ですが、
実は前処理(検液作成)の工程もとても重要なんです。
どんなに正確な機器分析が出来ても、前処理(検液作成)
が正確に行われていないと、正確な分析結果をご提供
することは出来ないんです。
そこで、機器分析の前工程にあたる検液作成の方法
(環境庁告示第46号(平成3年8月23日))について
レポートしていきます。
※VOC(揮発性有機化合物)の前処理についてはまた別の
機会にご紹介したいと思います。
検液作成の方法は大きくわけて4つの工程にわかれています。
①風乾(土壌試料を自然に乾かす工程)
まずは風乾から・・・。
風乾前試料 風乾後試料
採取された土壌は、試料によって土質や含水量(含まれる
水分の量)はさまざま。
公定法では、試料を強制的に乾かすことが出来ないので、
含水量が多い試料では、試料が乾くまでに3日もかかること
があるんです。
また、試料ごとに専用のBOXを使用することで、風乾時の
コンタミネーション(試料間の汚染)を予防しています。
②粗砕・ふるい分け・試料の混合
試料の風乾が終ったら、今度はふるい分けです。
土壌の試料にはいろいろな性状がありますが、石などを
砕かないように、木片が混入しないように公定法に従って
1つ1つの試料を丁寧に取り扱って正確な前処理を実践して
います。
公定法では2mm以下の試料だけが分析の対象になるんですね。
≦2mm >2mm
ふるい後試料
土壌汚染対策法に準拠した調査では、5地点混合方式の各
地点でGL-0~-0.05m(地表面から5cm)、GL-0.05~-0.50m
(地表面下5cm~50cm)の試料を採取するので、1検体の
前処理をするのに合計10試料分の前処理を行ってから等量
混合します。
1検体の試料を前処理するのもひと苦労ですね。
③抽出
今度は、2mm以下になった土壌試料から対象物質を水のほう
に抽出させる工程です。
抽出後の懸濁液
試料(土壌)を1に対して溶媒(pHを調製した純水)を10の
割合で混合して6時間振とうします。
④ろ過
抽出が終わると、前処理最後の工程となるろ過です。
ろ過後の検液
振とう後の懸濁液は、静置・遠心分離した後、孔径0.45μmの
メンブランフィルターでろ過をします。
これで検液の完成です。
ここからようやく、各項目の分析がスタートできるんですね。
いかがでしたか?
検液の作成にこれほどの手間をかけているのも正確な分析結果
をご提供するためなんですね。