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元商社マン、いま何想う?

海外生活で体験したこと、想ったことなどをエッセイで伝えたいと思います。時には時局の話題も。

香港のイメージ

2013年11月17日 | 暮らし
 皆さんは香港にどんなイメージをお持ちだろうか。
 ビジネスマンなら、「国際金融センター」、「物流基地」、「中国ビジネスの窓口」を
あげ、観光客を含む一般の人は、「ショッピング」、「グルメ」、「百万ドルの夜景」、
「摩天楼」などと口にするのではないだろうか。

 わたしが初めて香港を訪れたのは、1968年暮れから69年初めにかけてである。そのころ
住んでいた台北から正月休みに香港へ旅行した。当時の香港は26階建てのマンダリン・ホ
テルが目立つぐらいで、ほとんどが低層ビルだった。

 下層階で工場や商店を営み、上層階には人が住む。いまは製造業をほとんど広東省に移
してしまったが、そのころは繊維、ゴム製品、プラスチック製品、アルミ・エナメル製品、
家庭必需品などを作る小規模工場が林立していた。窓という窓から物干し竿が突き出し、
原色の洗濯物がひるがえっていた。

 英国式の二階建て市電やバスが走っている横を、人力車が駆けぬける。古いものと新し
いもの、東洋的なものと西洋的なもの、それらが渾然一体となった街。海底トンネルが
開通するのは1972年のことで、その時、飛行場のある九龍から香港島へはスター・フェリ
ーで渡った。学生のころ見た映画、「慕情」に映し出された世界。

 そのころの香港のイメージはどうであったか。「東洋の真珠」。ナポリ、リオデジャネ
イロと並ぶ世界3大美港といわれた。対照的に、「東洋の屑篭」。ギャングやスパイが横行
する街、麻薬ルートの根拠地。

 いまは取り壊されて跡形もなくなってしまったが、入り込んだら生きては出られないと
恐れられた香港の魔窟、九龍城砦があった。それに、「美味しい広東料理」、「ショッピ
ング」、「異国情緒」。そうしたものであったと思う。

 時は流れ、香港で勤務していた1992年のこと。香港政庁の委託を受けて、日本のあるシ
ンクタンクが一年にわたって日本人の香港に対するイメージを調査した。その結果、ベス
ト・ファイブに入ったのが、「ショッピング」、「港の夜景」、「美味しい中華料理」、
「ギャング」、「にせもの」であった。ちなみに同じ調査で、57%の人が1997年に香港が
中国に返還されることを知らないと答えている。

 そして香港返還後の1999年。香港観光協会が99年国際市場調査リポートをまとめた。
それによると、日本人は、「グルメ」、「ショッピング」、「英国植民地の雰囲気」を香港
観光の魅力にあげたという。

 ついでながら、中国人は「競馬」、台湾の人は「グルメ」、「ショッピング」といい、
アメリカ人は「グルメ」、「ショッピング」、「競馬」、「英国植民地の雰囲気」をあげ
ている。日本人とアメリカ人が「英国植民地の雰囲気」を香港観光の魅力の一つにあげて
いるのは、、ユニオン・ジャックが香港の街から消えても植民地の雰囲気が処々に残ってい
るということだろうか。

 最近の調査は知らないが、日本人にとって、ずっと香港のイメージとして変わらぬもの
は「グルメ」と「ショッピング」ではないかと思う。


 今回もブログを読んでくださって、ありがとうございました。
 





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