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開業から1年の相鉄JR直通と相鉄2021年3月ダイヤ改正

2019年11月30日に開業した相鉄・JR直通線
相鉄とJRの相互直通運転、「相鉄悲願の都心直通」と評されたりまた普段なかなか乗れなかった貨物線の有効活用として注目を集めたものの利用客数は低迷。新宿駅を他の列車の混雑を横目にガラガラで発車していく。などと言われたりしました。



会社側は3~4月の定期券の買換えに期待したものの、折から3月頃から新型コロナウィルスによる外出自粛などの影響も受け定期・定期外の利用がともに低迷します。

相鉄・JR直通線、利用者数は計画比55%減 - 感染防止の影響が深刻(2020年6月・マイナビニュース)

この記事では1日5万6千人の計画が3月までの実績で45%程度の2万5千人と低迷していることが伝えられています。
この後開業から1年経過した12月の報道でもやはり「低迷する利用客数」と不調ぶりを伝える報道記事が神奈川新聞から出ています。
実際の列車を見るとこの不調ぶりもごもっともと感じる低乗車率。まぁ着席可能性の心配をする必要もなく空いているのはありがたいですが。



その中で2月2日時点で3月13日の相鉄線ダイヤ改正が発表されました。
今回の新ダイヤ(以下2021年3月ダイヤ)での改正点のうち、相鉄JR直通列車に関する部分について考えていきたいと思います。

(相鉄JR線直通時の現行ダイヤに関しては2019年11月ダイヤと表記)



直通線に関係する変化として紹介したいのは以下の三点。

☆日中の直通列車各停化
毎時2本(一部3本)運転されている日中の直通列車のうち半数程度が相鉄線内特急で運転されていましたが、日中の全列車が各停化されることに(西谷で特急接続・二俣川で湘南台接続)

☆海老名8時台の直通2本の行先を新宿から池袋に延長。
平日朝ラッシュ時間帯の新宿以遠への直通は従来の6本から8本に増

☆平日夕方ラッシュ時間帯、横浜駅発の列車の運行パターンを見直し
2019年11月ダイヤで夕方ラッシュ時の横浜発着の本線優等を減便し、20分に海老名急行に2本+湘南台快速(西谷で特急接続)に減便。この減便により横浜発着優等列車の混雑が増し不評の声も聞こえていました。

今回2021年3月ダイヤでは横浜発各停を毎時9本→6本に減便し、その分優等(海老名快速)を増発。20分に急行2本+海老名快速1本(西谷で特急接続)+湘南台快速1本(二俣川で海老名各停接続)として横浜発着優等を増発しました。
なおこれに関連して夕方上りの本線列車も増発され、やはり減便により混雑が増していた上りの救済も図られています。
(大和基準17時33分~19時13分の間に約20分に1本増発。二俣川以西は純増+二俣川~横浜は各停の立替)

直通列車は改正前と同じく特急のままであるものの、直通線への転移を期待して減らした横浜発着優等列車を結局増発したことで、いわば白旗を上げた状況でしょう。特に頼みのラッシュ時の転移が進んでいないことが明らかになったという意味で注目点だと考えます。

ではなぜ相鉄JR直通線の利用が低迷しているのか。
そもそも相鉄沿線乗客にとって、実は相鉄が思っていたほど通勤・非通勤共に対都心への移動需要が少なかったのではないか。
また直通線の競合相手である小田急線に対して直通線は運賃が高額で「思ったほど多くなかった対都心需要さえ確保できていない」のではないか?と考えます。

☆相鉄JR直通線は運賃が高額

この表は相鉄線主要駅から新宿までの値段の比較表です。


この表を見ると、相鉄JR直通線経由の運賃は現行の横浜乗換えのJR新宿ラインの運賃とほぼ同額(ただしJR線の横浜~新宿間は品川で分割すると更に70円引)となるものの、二俣川発ですら大和経由が最安になるなど、小田急経由の圧倒的な安さの前には運賃的に敵わないのが実情といえます。

私なら大和~新宿で相鉄JR直通に乗るぐらいなら、+150円追加してロマンスカーのえのしま号に乗りたいですね。実際にはえのしま号の本数が少なく利用できない場面が多いですが・・(回送の営業化などえのしま号を増発して欲しい)

今回の2021年3月ダイヤ改正の雑感で「相鉄は横浜需要ありきだった」という声がよく聞かれますが、実は「横浜需要ありき」を勘違いしていたのが当の相鉄自身で「沿線の乗客は都心に行くにも横浜経由で行く」と誤解していたのではないか?と思わざるを得ない状況です。

この値段差を考えれば、小田急との乗換駅しか止まらないJR直通特急では戦えないのも明らか。小田急に直接乗れない特急通過駅こそ新宿直結のJR直通列車を停車させて集客した方がよいのは明らかでしょう。
そもそも直通線開業時の2019年11月ダイヤでも日中の半数は直通各停であるように直通特急で戦えないことはそもそも相鉄側でもわかっていたのではないかと思います。

ではなぜそもそも、JR直通列車を特急主体で設定したのか。

JR線、特に過密な品鶴・山手貨物線ルートに直通するに当たって運転見合わせや遅延など運行障害の影響を受けることは確実。直通列車を各停とした場合、JR線内で運行障害が発生した際に特急通過駅では1本間引きされ20分(それ以上)間隔が空いてしまうことを避ける意図があったと思います。
一方で直通開始から1年以上経過して、運行障害の発生件数が想定内に落ち着いたこと、また運輸指令が運行障害発生時の運転整理にも慣れてきたことで、今回各停化に踏み切ったと考えます。

【補足】
運行障害対策で線内各停列車と別枠で直通各停を設定した場合、各駅停車の本数が過剰になり特急列車の足を引っ張ってしまう。また各駅停車では所要時間が長くコスト増になる。よって補完列車を特急として横浜~海老名の特急が毎時3本に増発。運行障害発生時に横浜発着特急を二俣川~大和~海老名間の途中駅に臨時停車させ補完する輸送整理も想定していたのでは?


一方でラッシュ時に関しては相変わらず直通は特急主体
朝ラッシュ時は本数が多く最短12分間隔(西谷基準)で直通列車が運転されている場面もあり、直通可能車両が限られているなか運用数を増やし難く車両を早く回転させるために特急で運転せざるを得ない事情も無視できないと思います。

運賃面ではラッシュ時の通勤需要に関しては乗客の自腹ではなく企業側の通勤交通費負担によることが多く、相鉄側としても高額でも利便性が高い経路を選択してもらえるという期待感があると考えます。一方で既報道にある「定期の切り替えが進まない」を裏付けるかのように「企業が高額な直通線経由の定期代を認めてくれない」という声も聞きます。

今回のダイヤ改正では朝ラッシュ時のてこ入れ策として、新宿行き列車の2本を池袋行とすることで、小田急で直通できない池袋需要の取り込みを狙ったと考えます。



今後の展望としては、昨今のコロナ禍の中で必ずしも週5日以上の出勤を要さなくなった企業が、定期代支給から都度交通費支給に切り替えが始まっている旨の報道もありますが、「定期を買わない=差額自腹で利便性・快適性の高い経路が選択しやすくなる」ということで相鉄JR直通線に関しては行きもしくは帰りの片道だけでも選択されやすくなった面もあるでしょう。

また海老名駅周辺ではタワーマンション建設ラッシュが続き、今後の海老名駅利用客の増加も期待できます。その際に「始発駅で確実に座れる」ことで相鉄JR直通列車の利用増に期待というところでしょうか。
また海老名市など自治体から相鉄に対して直通線開業前に「JR線直通列車は出来るだけ海老名発特急にして欲しい」と要望している背景もあります。
一方で改正後尚もラッシュ時の転移(乗客増)が進まない場合、朝ラッシュ時の直通各停化など更なるてこ入れ策も視野に入ってくるかもしれません。

また日中も含めた対都心需要の喚起として、相鉄線発駅からの往復+都区内フリーパスがセットになった企画乗車券の販売も一案かもしれません。
ただ一方で小田急のメトロパスが海老名発1300円、大和発1210円で販売されている実情を考えると、大和~西大井の往復で1340円(670×2)+760円=2100円なので25%以上の思い切った割引を行わない限りどこまで効果があるか・・。

現状の相鉄JR直通線の苦戦ぶりを見ると、今後2022年下期(23年3月?)に予定されている東急直通線もどこまで集客できるのか心配になります。
都心部以外に新横浜直結というメリットはあるものの、朝ラッシュ時毎時4~5本、日中毎時2~3本という都市鉄道として最低限の本数のJR直通線に較べ、東急直通線は朝ラッシュ時毎時10本、日中毎時4本計画と本数が多いだけに「JR直通線以上に悲惨な乗車率」になる危うさを感じます。

今回2021年3月ダイヤ改正は大幅な減便ダイヤとなりましたが、東急直通線開業までに新型コロナの影響を払拭して乗客が戻ってくる+2019年の乗客数以上の増加に期待するしかない状況です。特に2021年3月ダイヤで快速が大幅に削減されたいずみ野線の今後の伸びに期待せざるを得ません。


2021/2/8 23:25(JST)

コメント一覧

kutamuki
相鉄沿線、仕事はともかく横浜に行けばほぼ用事が済みますからね。
平日夕~夜の西谷視点ですが、JRから来る電車、以前よりも客は増えているような気がします。以前は空席多数ガラガラでしたが、現在はほぼ座席が埋まっています。立ち客が少ないのは相変わらずですが。
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