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2015年10月-社叢学会研究例会(東京)「木々も命あり -山川草木悉皆成仏-」

10月3日土曜日に社叢学会の研究例会に参加してきました。
社叢学会の研究例会に参加するのは今回で3回目。前回は7月でしたが他に用事があって欠席。私が出席するのは4月以来ですね→4月の時はこちら



会場はまたまた渋谷の国学院大学。渋谷駅から学03バスに乗って行きます。
180円なので普通の都営バスの210円よりも安いけど、距離を考えると150円ぐらいだといいんだけど



さてまたまた講演の前に学食で昼食を食べるとします。
今回は3号館2階の「メモリアルレストラン」の方にするとします。



どれにするか迷いましたが、「不動の1位。追従を許さない」というのに惹かれて、420円のビーフシチューライスを注文するとします。
ちなみに品物の受け取り口のところで、ペットボトルドリンクを売っていて食事と一緒に買うと1本110円なのでお得ですね食事は食券購入制。ペットボトルは代金を直接渡すみたいで・・



こちらがビーフシチューライス。サラダとスープ付ですね。これで420円



またまた流行の?接写で
肉がよく煮込んであって柔らかいのが印象的ですね。さすが1位というだけあって美味しい
ボリュームは程々なので量重視な人は大盛りで注文した方がいいかも??

ここの学食は美味しいので国学院大学に行く時は楽しみですね
渋谷駅から徒歩15分ぐらいなので、用事がないと行きづらいですが、博物館も併設しているのでついでに寄るのもいいかも。食堂は3つあって、概ね講義期間中は日曜は休み。営業時間などはサイトで確認をお勧めします。
学生で混む時間は分からないですが、関係者でなくても行けば誰でも食べれるよう。
特にチェックなどもなかったので・・・

ちなみに地下にはコンビニ風売店や書店などもありましたが、国学院大学生組合員と一般で値段が多少異なるようでしたが購入できました。


さて食事の後は講演会場に移動します。
14時からスタート。今回の会場は中教室的な部屋。
4月の時の大教室は座りづらい椅子ではなく普通の椅子だったのでよかったです



今回の講師は神奈川大学の教授・佐野賢治氏

司会はいつもと同じく國學院大學の茂木教授
受付でポーラ財団の資料も配布されたので今回も映像上映があるのかな?と思ったのですが今回は映像上映はなく講演のみでした。

さて今回のテーマは「木々も命あり -山川草木悉皆成仏-」
「やまかわ・・・???」と一見難しそうな内容ですが、「もののけ姫に見る日本文化」というサブタイトル付

もののけ姫を初めてとして宮崎監督が率いるジブリ作品で表現されている「森」や「樹木」の姿。その中で木にも命・心が宿るという「樹霊信仰」が一貫して流れているということ。
ひいては生物・無生物を問わず存在を擬人化して霊格を認める思想アニミズムの日本的な伝統として「八百万の神」の考え方がジブリ作品の根底に流れているという話からスタート。

ジブリ作品の根底にある日本の「八百万の神」の信仰は西洋などの「一神教思想」とは対極をなすものであるにも関わらず、ジブリ作品は海外でも大人気。佐野氏がフランスで講演した際も予想に反し大盛況だったそう。

もののけ姫は「色々なものを詰め込みすぎて分かりづらい」という評もあるとした中で、日本が古代から中世社会に移行する過渡期の姿を描きつつ、自然・人・カミの姿とそれらとの関わりが描かれていること。
照葉樹林の森の象徴してのシシ神や、森のざわめきや木霊を可愛らしいコダマの姿で表象化しているといった話。

また宮崎作品では里山を人間と自然(神)との共生の場として位置づけており、これは「平成狸合戦」で更に深く里山の開発を描きながら重要性を訴えているという話。

宮崎作品で描かれているような日本で長く続いている樹木信仰の一つの形態として、講師の佐野氏の研究の一つ「草木塔」について紹介されます。
「草木塔」というのは山形県置賜地方(米沢市とその周辺)で江戸時代中期(上杉鷹山の時代)に始まり現在まで続いている、「草木供養塔」「草木塔」という自然石の石碑のようなものを建てる風習。
「草木塔」を建てる風習は33回忌供養の一つの形でもあり、人が死後33回忌を迎えることで森や山といった自然と一体化して神・仏となるという葬祭や法事の中での仏教的な思想と関連しているということ。

私は日本の歴史上の人物の中で上杉鷹山は好きな人物の1人ですが、この草木塔の慣習の話は初耳でした。草木塔を建てるのは風習が行われているのは、全国でもほぼ山形県置賜地方なものの、2000年代になっても建立されている例もあるなど現代に続いているそうです。

ちなみにwikipediaで「草木塔」を検索したら、発祥を「当時の大火の再建で大量の木を伐採した事への供養」と書いてありましたしかし講演中での話では、「大火の再建で・・・」というのは諸説ある学説の一つに過ぎないそう。やはりwikipediaは話半分に見ておいた方がよさそうですね。


こういった中で「山川虫魚草木悉皆成仏」はつきつめると地球環境保護の精神であり、宮崎作品の中では「風の谷のナウシカ」で「自然、人・神との共生」or「類の滅亡」という選択を提示しているということ。
すべての物が神になれる。という八百万の神の思想は、21世紀にマッチした思想であり、地球環境保全の流れの中で日本から世界に発信すべき信仰文化であると結論づけられました。

また最後の質疑応答も含めて興味深い話として・・・
国際的な反捕鯨世論などの中で、日本では鯨漁に際して、捕鯨した鯨に戒名を付けて過去帳をつけて供養している例などを紹介し、このようなことももっと日本から発信して行くべきだという話

食前に「いただきます」という日本の習慣は、食物となった生物に対する対する尊厳であるということ。
一頃にあった学校給食で給食費を払っているのに「いただきます」を言う必要があるか?論争は全くのナンセンスで、「いただきます」という相手は学校や行政のような小さなものではなく「命を捧げた生物」に対するものだということ。

仏とのかかわりで、小乗仏教の国では仏というのはお釈迦様のことである一方、日本では刑事ドラマでよくある死体のことを「仏」と呼んだり、米のことを「シャリ」と呼ぶ風習など「仏」の範囲が広いのもこれまた日本独自の宗教観であるという話。

君が代問題?のような形で文部科学省の前に「さざれ石」として礫岩を展示してあるが、小さい石が集まって大きな石になるというのはナンセンス。「さざれ石」というのは、小さな石が努力して大きくなるという生き石信仰でのものだ。

といった話題も紹介があり予定の16時頃に今回の講演は終了となりました。


今回の講演全体を通じた感想
今回の講演は一見難しそうなタイトルでありながら、ジブリ作品のエピソードなどを紹介しながらで、とっつきやすい内容でよかったと思います。
「もののけ姫」を初めとするジブリ作品を見る際も、こういった「樹霊信仰」や「八百万の神」といった視点、森や樹木の描かれ方と人とのかかわりや信仰といった視点で見ると、また新たな発見が出来そうに思いました。

また今年は愛・地球博から10周年の2015年。社叢学会は愛・地球博出展団体の一つであり、それで私が社叢学会に入会した。という話は以前にも触れましたが、愛知万博は日本から環境保護に関する取り組みと重要性を世界に発信した場でもありました。

今回の日本伝統の「八百万の神」の思想が地球環境保護に繋がるなど、愛・地球博10周年の今年に相応しい講演であったと思います。
さらに愛・地球博の公式マスコットキャラクターのモリゾーとキッコロ。
森の妖精(=精霊=カミ)として、森や自然の知識・知恵を語りながら、環境保護の重要性から自然と人との共生を説くモリゾーとその相手役であるキッコロは、まさに樹霊信仰であり自然信仰の一つの具現化した形といえますね。

更に言えば、近年のゆるキャラブーム。これも日本の「八百万の神」「アニミズム」の精神が土台にあってこそのブームなのかなと。中にはブームに乗って安易にキャラを作るもののあまり利用されずに、消えていっているような可哀想なキャラもいるのは悲しいものです。

また山形県置賜地域独自の文化といえる草木塔は全くの初耳。上杉鷹山が好きで私は米沢に縁があることからも興味ある話で是非実物を見てみたいものです

といったところで今回の講演はとても興味深い内容で参加してよかったです。


次回の開催予定については発表されませんでしたが、まだ未定なのカナ??
私は土曜日なら暇。というわけではないので、決定次第出来るだけ早めに発表されるとありがたいです。


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2015/10/8 1:04(JST)

コメント一覧

火星―α
「もののけ姫」の映画を大学教授の講演会で使っていることはスタジオジブリは国民的な知名度で里山の描写が評価されていることは間違いなさそうです。
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