相場のミカタ

商品先物情報紙の元記者にして、現役の行政マンが日々の出来事や相場について語ります。

人口推計に思うこと

2009年07月31日 | 商品先物・為替
今週、総務省の統計研修所というところで人口推計の研修を受けてきた。
いや、やればやるほどアヤフヤなもんだね、将来人口の推計って。
本気でやろうとすれば、かなり色んな外的要因を考慮せざるを得ないし、
それらは全て推計担当者の胸先三寸で決まる。
つまり、「5年後には、うちの街にたっくさん若者が来るんじゃね?」
って思えば、そういう風に係数を動かして若年層の人口が増加するように
将来の人口ピラミッドを描けるということ。
まぁ、夢を語るのは良いことなのだが、これは危険極まりない。

なぜかというと、この将来人口の推計こそが、各市町村の立てる長期総合計画を
左右するからだ。
あ、長期総合計画ってのは、自治体で動く全ての計画の土台になる計画のこと。
つまり、「市内の小学校を改築するべ」計画も、「新しく市バスを走らせよう」計画も、
「新型インフルエンザが大流行したら、市民をこうやって保護するぜ」っていう計画も、この長期総合計画に基づいて立てられる。
(基本構想・基本計画と称する自治体もある。うちの市もそう)

で、この総合計画(普通は先行き10年)を策定するために使うのが、
市内の将来人口の推計なのだ。
①A地域は10年間で高齢化が進行する
②B地域では5年後に就学児童の人口が増える
③C地域では10年後に退職を迎える人が増える
な~んて推計があれば、
「んじゃ、A地域には老人ホーム、B地域には学校を作って、C地域ではリタイヤしたおとっつぁんに地域社会の担い手になってもらうべ」
といった具合に計画が立てられるわけ。

そこで元に戻るけど、将来人口の推計には「担当者の胸先三寸」っていう変数が、とっても多い。
コワイことじゃないですかこれ。
「担当者のセンス」っていやぁ聞こえはいいけど、リスクありまくりよ。
もっといっちゃえば、「D地域に老人ホーム立てたいなぁ」という、利権ガラミの魑魅魍魎が市の上部か議員にいたとしようか(フィクションです)。
そこでぺ~ぺ~の担当者が「D地域では高齢化の進行が遅い」という予測を基に人口推計などしようものなら、
「何を言っとるのかねチミは。D地域ではみんな1年に3歳ずつ歳をとるのを知らんのかね」と言われ、修正を求められるのは必至。
そこで「ふざけんなぁ!!」と言えるのはドラマの中だけで、普通の地方公務員ならば、「ですよね~」となる。

まぁ、そこまで酷いケースはあまりないだろうが、「やることいっぱい夢いっぱい」の長期総合計画を立てないと市民に顔向けできないため、
将来人口の推計もせっせとレインボーカラーに塗りたくって提出する…なんてのは実際に聞く。
ヘタすると、「将来人口の理想像」に合わせるように変数を調節する、という例まであるそうで、それはもはやデータの捏造。

俺の先輩は「データの捏造は最悪の罪」と言っていたが、その通りだと思う。
昔、某取引員のレポートを読んでたら、不都合なファクターを華麗に取り除いて重回帰分析している箇所を見つけ、ぶっとんだ覚えがある。
数値データの分析とは、意思の介在を許さない数学的なものであるべきで、
それを破る行為は数学に対する冒涜なのだ。
相場の世界から行政の世界に身を移しても、そのことだけは肝に銘じたい。
研修からの帰り道、そんなことを考えていた。

激変

2009年07月03日 | 商品先物・為替
本当に色々なことが変わった。
いや、世の中も変わったけど、一番変わったのは自分を取り巻く環境。
“ちぇいんじ!!”と、オバマ顔で若干古い言葉を使ってみたくもなるわけですよ。

え~っと、まず2009年2月末をもって(株)商品市況研究所を退社。
んで、その3月末に(株)商品市況研究所が倒産。
自分自身は、4月から某市の市役所職員としてデビュー。
今は行政マン1年生。

要は、2008年の初めに会社が危ういと察知して、転職の機会を探ってたわけで…。
そしたら、住んでいる某市の1次試験が6月末にあって、
「う~ん、地方公務員っていうのもアリかなぁ」と思って受けてみたわけで…。
完全なる“まぐれ”で1次を突破し、あとは内定まで這い登り(?)、
会社の説得を余裕で振り切って退職の運びとなったんですね。
そりゃ、「これは危ないだろう」という会社で一発逆転に賭けるか、
「市役所のヒト」の道を選ぶかといえば、後者になるって。
俺だってもう三十路。自分の身がカワイイ。

まぁ、2時間かけて日本橋は人形町界隈まで通勤していたことを思えば、
今は職場まで自転車で15分だし、快適な生活といえるでしょう。
ノー残業デー(水曜)になると、夕方の情報番組を家で見てるしなぁ。

あ、仕事はハードですよ。
自分は窓口業務ではないのですが、
「地方分権が押し寄せるこのご時世、市はどのように行政経営を行うか」
「最も効果が上がる市民参加・市民協働とは何か」
といった無理難題の数々や、下手をすると
「そもそも地方自治とは何か?」
というスパルタの時代から問い続けられている難問を調査研究しております。
つまり、仕事に終わりや区切りがありません。
研究職に近いかもね。
それでいて、転職組とはいえ下っ端なので、庶務的な書類仕事もあり…。
なかなかおぞましいことになってます。
周りの諸先輩はキレキレ(頭がね)の人ばかりだし。
商品市況研究所の頃より、はるかに早い判断スピードを求められるなぁ。

ノー残業デーに市役所を出ると、まだ外は明るいので、
川沿いの道を自転車でブラブラ帰ってきたりもします。
そうするとさ、綺麗なのよ、風景が。
昔、家のそばの橋の上から撮った写真を左側のgoo IDに表示してるけど、
まさにこの橋を通って帰ってくるんですわ。
たまに、橋の上でちょっと止まって、景色を見てたりもするよ。
「この街に住む人たちが、明日もこの景色を安心して見ることができるように、
 そのために僕たち市職員が働いてるんだ」
と思っております。いや、マジで。
だから、変なマスコミの口車に乗って、公務員を批判的に見ないでね。
大多数の地方公務員は、ホントにマジメに働いておりますから。
国家公務員は…よく知らない。
というより、中央官庁の官僚には、記者時代を通じて悪いイメージしかない。

とはいえ、相場のことは今でもチラチラ見てますし、
ブログタイトルもこのままにしておきます。
時間があるときにぼちぼち書くよ。
商品先物市場のことや行政の仕事なんかを。