犬と私の10の約束
川口 晴 著 文芸春秋 / 2007.7
ある日、12歳になったばかりのあかりが学校から帰ってみると、
庭の植え込みからヨチヨチ歩きの子犬が出てきました。
犬を飼いたがっていたあかりは捕まえようとしますが、
電話の音にビックリした子犬はどこかへ姿を隠してしまいます。
しかもその電話は、母が倒れ、入院したという父からの知らせでした……。
まず、これはフィクションであるということをお忘れなく。
ツッコミどころ満載です。
いつの間にか外飼いになっているのには驚きましたし、ソックスが亡くなった後に小屋から出てきたお母さんからの手紙には顎が外れそうになりました!!
ってことは、何年も犬小屋の掃除してないんかい!!
室内飼いだったのにいつの間にか外飼いにした理由って、クライマックスでお母さんからの手紙をソックスが隠し持っていたってことにしたいからだとしか思えません。
あっ、シーチキンごはんもやめてほしい・・・。
そうそう、父親もさっさと家を探せよ!って思ったし・・・。
それに、何より驚いたのが、アカリとソックスの再会シーンです。
ソックスがアカリを見つけて一直線に川を渡ろうとするところで、アカリがソックスに橋のたもとを指さすのですが、なんと!ソックスはアカリの指さした橋のたもとを見るんですよ!!
信じられませんでした。。。
普通、指をさされたら、その指を見ると思うんです。
つまり、“あっち”とか“そっち”って、なかなか見れないと思います。
その時点で、やっぱりフィクションだな~って思いました。
読み終わったあと、どうしてもフィクションかノンフィクションかを知りたくて調べてみたのですが、ネットの本屋さんではノンフィクションにジャンル分けしているところが多くて・・・。
で、版元の文藝春秋に確認したのです。
はい、間違いなくフィクションでした。
なんていうか、『犬の十戒』『虹の橋』をまんまと利用したというか、私としてはなんとなくいい気持ちはしません。
まだ子供向けに、『犬の十戒』を解りやすく『犬と私の10の約束』として盛り込むのならいいのですが、アカリと星くんの恋愛話が出てくるので、ちょっと子供向けって感じじゃないし・・・。
ちょっとガッカリでした。
でも、犬との約束ごとにはもちろん感動します。
自分を振り返りもします。
そこだけは純粋にいいお話であったと思いました。
「犬と私の10の約束」
1 私と気長につきあってください。
2 私を信じてください。それだけで私は幸せです。
3 私にも心があることを忘れないでください。
4 言うことをきかないときは、理由があります。
5 私にたくさん話しかけてください。人の言葉は話せないけど、わかっています。
6 私をたたかないで。本気になったら私のほうが強いことを忘れないでください。
7 私が年を取っても、仲良くしてください。
8 あなたには学校もあるし、友達もいます。でも私にはあなたしかいません。
9 私は10年くらいしか生きられません。だからできるだけ私と一緒にいてください。
10 私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください。
そして、どうか覚えていてください、私がずっとあなたを愛していたことを。