街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る
木下利玄『紅玉』
歌集『紅玉』の冒頭には、長女夏子の死を詠った一連の歌が置かれている。
長男を生後5日で亡くし、次男を生まれた翌年に亡くし、傷心の妻を気遣って別府への旅に向かったその途上で、夏子は生まれた。
ところが夏子も一歳に満たずに別府で亡くなる。
傍らを通る子供が蜜柑を食べたのだろうか、その香りとともに亡き子らの顔が頭をかすめる。
木下利玄『紅玉』
歌集『紅玉』の冒頭には、長女夏子の死を詠った一連の歌が置かれている。
長男を生後5日で亡くし、次男を生まれた翌年に亡くし、傷心の妻を気遣って別府への旅に向かったその途上で、夏子は生まれた。
ところが夏子も一歳に満たずに別府で亡くなる。
傍らを通る子供が蜜柑を食べたのだろうか、その香りとともに亡き子らの顔が頭をかすめる。