すると、ミニョンが車から予備のコートを持ってきて、フワリとかけてくれた。ユジンは戸惑いながらもお礼を言った。女性慣れしていて、ミニョンにとっては当たり前のことなのかもしれないが、意識して戸惑ってしまった。
2人は建築現場の職員と合流して、一列になって黙々と移動した。深雪の中につけられていく足跡👣が、昔チュンサンと2人で雪遊びをした時に、彼の足跡を延々と踏みしめたことを思い出してしまう。ユジンは無意識にミニョンの足跡をひょこひょこと踏みしめて歩いていた。やがて、ミニョンは現場に入るとテキパキと指示を出し始めた。ユジンはなるべく離れて、建物の外観の写真を撮っていた。すると、ファインダー越しに笑いながら話しているミニョンの姿が写った。思わずシャッターを押してしまう。すると、ミニョンもこちらを向いて、2人の視線がからまった。ユジンは慌てて他の方向を向いて、写真を撮るフリをした。そんなユジンに気がついて、ミニョンはクスリと笑った。
悔しいけれど、気がつくとミニョンの姿を追ってしまう。本当にチュンサンにそっくりで、チュンサンの写真を一枚も持っていないユジンは、彼の写真が欲しくてたまらなかった。タバコを吸っている写真、遠くを眺めている写真、ミニョンの写真ばかりが増えていった。ついに、フィルムはいっぱいになってしまった。ユジンはうっかりミニョンにコートを借りていることを忘れて、ポケットに入れてしまった。
すると、サンヒョクから電話が入った。ユジンがスキー場に来ていることに驚いていた。
「チョンアさんと一緒なの?」という問いかけについうなずいてしまうユジンだった。そんなユジンが気になるようで、ミニョンはユジンをじっと見つめて話しかけるのだった。
ミニョンは歩きながらユジンに言った。
「ユジンさんは結婚したらどんな家に住みたいですか」
「そんなこと、考えたこともありません」
「どうしてですか?普通リビングはこうして、ベッドルームはこうとか理想があるでしょう」
「本当に愛しているなら、それは重要じゃないと思うんです。愛しあっていれば、お互いの心が家になると思うんです」
ミニョンはユジンの考え方に感銘を受けた。なんて、素敵な考え方をするんだろうと、密かに微笑みながらユジンの後をついて行った。
やがて改装する予定の古いカフェに入った2人は、電気をつけて暖炉に火をつけた。雪靴ではないので、すっかり濡れてしまったユジンの靴を、脱いだ自分の靴と一緒に置くようにミニョンは勧めた。ユジンは戸惑いながらも、靴をそっと脱いだ。足先が凍りそうに冷たい。ミニョンはユジンの靴を自分の隣に置いた。ユジンは昔靴を履かせてくれたチュンサンを思い出して、急に涙が出そうになった。
「ユジンさんは本当に無口ですね。今まで僕に興味がない女性なんていなかったですけどね」
「聞きたいことなんてないんです」
ユジンが言うと、ミニョンはバツが悪そうに笑った。
しかし、並んでいる靴を見ていると、急にチュンサンに会いたくなってしまい、涙が一筋落ちてきた。
「あの、高校はどこですか?本当にアメリカですか?春川を知りませんか?」
急に涙をためた真顔で質問責めにするユジンに、ミニョンは驚いた様子だった。
「今まで我慢してたんですか?」
「お願いです。少しだけメガネを外してもらえませんか」
ユジンは涙を流しながら懇願した。自分の心が止まらなくなっているのを感じた。ああこの人がチュンサンだったらどんなにいいだろう、という考えが込み上げてきた。
一方でミニョンもあまりに必死なユジンに心を揺さぶられていた。涙を拭ってあげたくなるほどだった。
「ミニョンさん、私の話を聞いてくれますか?実は、、、」
ユジンが話し始めると、急にドアが開いて、そこにチェリンが立っていた。チェリンはキム次長にミニョンが美人と2人でスキー場に出かけたと聞いて、急いで駆けつけてきたのだ。チェリンは相手がユジンだと分かると驚いたが、ミニョンと必要以上にいちゃついて、ユジンに見せつけた。そして、ミニョンの車にユジンを乗せたくなくて、自分の車に乗せて去ってゆくのだった。チェリンにはミニョンのコートを羽織って、真剣な顔で見つめ合って話していた2人に対して嫌な予感しかしなかった。
最初から今まで
貼っておきます。
あっ、この歌が主題歌です。
あえて最終回までのMVじゃないのを貼りますね。だから日本語バージョンのしか見つかりませんでした。
もう一つはRYUさんが紅白にでた韓国語バージョンです。
ではおやすみなさい💤💤💤