村田祐菜先生が開発する近代短歌データベースβ版。
ブログの更新をサボっている間「2023.01.29 β版を取りました。」との更新がありました。ので、このブログからも「β版」を取り外します。
近代短歌データベースは晴れて正式版になりました。
村田先生が近代短歌データベースを開発するまで、短歌で何か気になったことがあっても、どのような作例があるか全くわからない。手がかりすら掴むことができませんでした。
村田先生以前に近代短歌のデータベースがなかったかというと、そういうことでもなく、
津端修・津端亨編纂『現代短歌分類辞典』があったり、
高等学校の校長先生が、約3万首からなる分類集成を編纂したりと、充実した仕事を残されているのですが(小規模なものや和歌俳句との抱合せはこれまでもあった)、
前者は国立国会図書館か都立図書館まで行かないとなかったり(約60万首収録で200冊以上ある!)、
後者は図書館でレファレンス資料として認識されず一般書扱いだったりするのです。
それなりの規模で、誰もが共通して使え、誰もが信頼を置くデータベースとなると、これはなかなかの難問。結局は人間の手で作るものなので、専門分野、立場がからんできます。已む得ないことだと思います。
昔々のことなので、今更になって悪くは言えませんが、近現代短歌の辞書には、歌語の項目で、感想文か何かわからないようなものが書かれていることがありました。根拠があるのかないのかよく分からない。引用されている短歌が適切なのか疑問に感じていました。
監修者自身の作品や、編集者たちが活躍した時代の作品ばかりがやたら引用歌に出てくるわけです。
近代短歌データベースで改めてこの歌語を検索してみると、辞書の限られた字数では見えなかったところまで見え、
場合によっては、辞書に書いている通りには、必ずしもなっていないことが分かったりすることもあります。
近代短歌データベースは、今までの研究の成果を深掘りし、検証するためにも、これからの読者、研究にも欠かすことができないものになるはずです。
私は検索するだけのユーザーですが、村田先生はじめご関係者の尽力に深く感謝しています。