ヒットした短歌: 48件
十一月の海 あたたかき真昼凪ぎ。寝欲しき心 橋越えむとす
釈迢空 『水の上』, 1933, 1948
十一月十二月へてわが年の三十といふ断崖に行く
前田夕暮 『歌稿』, 1911, [1911]
十一月 ついたち/秋山太郎 亡せにけり。/この電報を/疑はめやも
釈迢空 『春のことぶれ』, 1925-1929, 1930
十一月廿八日はれとほるむなしき空をわれら走れり
斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1929, [1929]
うべ昨夜は寢つきかねてき東京に十一月を初雪積める
窪田空穂 『卓上の灯』, 1950, 1955
靜かなるかぜのながれのここちよさ十一月の黑檀の夜
与謝野晶子 『さくら草』, 0000, 1915
昨年の十一月の映写なれど閘北のけむり空くらましぬ
斎藤茂吉 『寒雲』, 1938, 1940
戀びとを恨むに倦きしかたちする十一月の空のしら雲
与謝野晶子 『火の鳥』, 0000, 1919
木の實など間に置きて君とある夜など樂しや十一月は
与謝野晶子 『さくら草』, 0000, 1915
釋迦牟尼の堂に上りて一人聞く十一月の水の鳴るおと
与謝野晶子 『落葉に坐す』, 0000, 1933-1934
北斗の座三分は見えず伊豆の山十一月の銀河ながるる
与謝野晶子 『草と月光』, 0000, 1933-1934
裏日本みな朱金たりかくおもひ十一月のくろべ山行く
与謝野晶子 『いぬあぢさゐ』, 0000, 1933-1934
晴れわたる十一月の丘の上に白き握飯をわが食みにけり
古泉千樫 『靑牛集』, 1926, 1933
日光の十一月號にふるひたち新しき歌大に送れ
古泉千樫 『書簡にあらはれたる歌』, 1926, [1926]
ゆたかなる十一月のみづうみと淸く瘦せたる山の木立と
与謝野晶子 『草と月光』, 0000, 1933-1934
十一月三十日の夜戦をぞいのちのかぎり吾はたたへむ
斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1942, [1942]
この歷史光をもちて忘るるなかれ十一月廿六日十二月八日
斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1943, [1943]
十一月の十日のいく日国土をゆるがしたてるよろこびのこゑ
斎藤茂吉 『ともしび』, 1928, 1950
十一月は冬の初めてきたるとき故国の朱欒の黄にみのるとき
北原白秋 『桐の花』, 0000, 1913
水くさはうらがれたれど池に居て十一月の靑ぞらを敷く
与謝野晶子 『太陽と薔薇』, 0000, 1921
十一月一日の間にとても合はぬ歌の原稿を一人書き居り
島木赤彦 『氷魚』, 1916, 1920
十一月の日光のあまさ農夫らの顔の真面目さ麦まきゐるも
前田夕暮 『生くる日に』, 1913, 1914
曇りなき十一月三日の空の日のかなしいかなや靜かに照れる
若山牧水 『みなかみ』, 1912-1913, 1913
靑桐の黄に染む梢の高き越え十一月三十日を光り飛ぶ蜻蛉
窪田空穂 『鄕愁』, 1936, 1937
ふくらなる羽毛襟巻のにほひを新しむ十一月の朝のあひびき
北原白秋 『花樫(桐の花より)』, 0000, 1928
十一月の空に吸ひついて、ひつたりと水平に張つた機翼の光だ
前田夕暮 『水源地帯』, 1929, 1932
萩の花いたるところににほへるが十一月までは保たずといふを
斎藤茂吉 『つきかげ』, 1948, 1954
炭竈よりかきいだされし炭の上にしろしろとしてふる十一月の雪
前田夕暮 『歌稿 天然更新歌稿』, 1923, [1923]
十一月の午前の日かげをいつぱいにうけた荒川放水路がましたにある
前田夕暮 『水源地帯』, 1929, 1932
十一月二十五日の最後をば簡潔に発表す嗚呼「全員玉砕せり」の六つの文字
斎藤茂吉 『短歌拾遺』, 1943, [1943]