「子どもが心配」人として大事な三つの力 2022/2/16
養老孟司
ーあらすじー
「子どもは本来『自然』に近い存在である」と考える解剖学者が
都市化が進んだ現代の子どもが幸せになる教育について
四人の識者と真摯に語り合う。
医療少年院で非行少年の認知能力の低さに愕然とし
子どもの認知能力の向上に努めてきた宮口幸治氏。
インターネットで「正しい育児法」を追いかける親を心配する、小児科医の高橋孝雄氏。
国産初の超電導MRIを開発し、子どもの脳の大規模研究を行ってきた小泉英明氏。
生徒が自分で野菜を育て、机や椅子も作る学校、自由学園の高橋和也氏。
子どもと本気で向き合ってきた経験から紡ぎ出される教育論。
サブタイトルの三つの力というのは、宮口幸治先生が重視される、
学びのための根本的な能力「認知機能」
高橋孝雄先生と小泉英明先生が共におっしゃった「共感する力」
高橋和也先生が自由学園の教育で目指している
「自分の頭で考える人になる」ことを指す。
P41~
養老:私も若いころは感情のコントロールが苦手でした。
人の感情がわからないこともありました。
それではいけないと、大人になってから勉強したと言いますか、
努めて相手の気持ちを考えるようにしたんです。
でもやりすぎたのか、逆に相手のことを過度に考えるようになってしまいました。
それはそれで良くない。
人間関係で一番重要と言ってもいい、相手とうまく距離を取ることができなかったのです。
☆感想☆
同感です!
私も経験があります。
あまり相手との距離が近くなると、依存されたり、利用されたり
あまりいいことがありません。自分自身も疲弊します。
適度な距離を保ちながら、人付き合いをすることって、とても重要なことだと思います。
(これがかなり難しい💦)
P58~
宮口:子どもを電気自動車にたとえると、親は充電器に相当します。
子どもが外でいろんな経験をすれば、当然、エネルギーを消耗します。
そうしてなくなった分を、帰宅してから親に充電してもらう。
親という充電してくれる存在が、「安心安全の土台」になります。
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また「伴走者」は、車の助手席に乗っているイメージです。
「一人でやりなさい」と突き放すのは、
教習所で運転を学んだあとにいきなり首都高速に乗れ、というようなもの。
子どもが新しいことにチャレンジするときは不安ですから、
最初のうちは伴走者として見守ってあげるのがいい。
☆感想☆
確かに親がこれをできたらすばらしいけれど...
ていうか、私もこういう親に育ててほしかったと痛切に思いますが
現実はなかなか厳しいと思いませんか?
親のキャパシティの問題もあると思いますし、
親自身に心の余裕がないとなかなか難しいのではないかと感じました。
p187
高橋:たとえば美術の時間では、
「今日は虫の絵を描きましょう。まずは15分間、虫をとってきてください」
などといって、虫とりから始めることもあります。
☆感想☆
自由学園はすごいな!
そういえば、私も小学生のころ、なんの授業だったか忘れたけれど
近くの野原で虫とりをした記憶があります。
バッタを捕まえたんですが、それがとてもうれしかったことを覚えています。
あと、学校の裏手に小さな畑があって、サツマイモほりをしたことも思いだしました。
大きなサツマイモを掘ったんでしたっけ?
自然と触れ合うことって理屈なしに、心と体が喜ぶことなんだな、と思います。
高橋和也先生の「自分の頭で考える人になる」っていう教育方針は
本当にすばらしいと思います。
現代はネットでキーワードを検索すれば、なんでも答えが見つかるような時代ですが
裏を返せば、簡単に人に騙されてしまうこともありえます。
そういう時、まずは自分の頭で「これは真実なのか?フェイクなのか?」
立ち止まるためにも、必要なことだと思います。
全体を読んだ感想として
出来れば、この対談の中に女性を入れてほしかったです。
女性の視点からの教育論を聞いてみたかったです。
あと、この本の対談に出ていたかたがたご自身の子育てについても聞いてみたかったです。
実はそこが一番知りたかったです。
(未婚だったり、お子さんがいらっしゃらなかったらすみません)
ー終わりー