「見や毛先輩!後輩のイダップ(IDAP)です。」
ある日我が家に1本の電話が入りました。
母校のクラブ員は卒業30年も経つと人恋しくなるのか、互いの老け顔や間抜け顔を確認したいのかクラブOB会を作りました。
現役学生も卒業生も大勢いますが大体50代を中心にしたOB会をIDAPの呼びかけで作りました。
作って間もない頃のIDAPからの電話なのです。
聞けば来週現役クラブの新入部員歓迎会があり、OB代表として参加して欲しいとリクエストがある。
ついては最長老の見や毛が行かないとサマにならぬので、是非いっしょに行って欲しい、とすがりつくような声で言うのです。
毎年70人は新入部員が入って来る大所帯の現役クラブでの初夏のイベント「新入部員歓迎会」です。
正直言って何十年も交流のない現役クラブに顔を出すのはおっくうな気がします。
ただでさえ母校の学部は伝統的に常識はずれの変な奴ばっかで、加えてエイリアンみたいな若い世代と会いまみえるなんて考えただけで憂鬱になります。(これまでの人生、充分常識はずれだった僕も一瞬悩める人になりました)
「そこを何とか!」
IDAPに押し切られて行く事にしました。
はは~ん、あいつ飲み会でカツラ芸をやらせようと考えているな、と気づき当日2時間かけて皆の待つ飲み屋に駆け付けました。
新入部員歓迎会
来たOBは僕とIDAPとNUMAPの3人です。
現役会長が大号令をかけると全員が起立して挨拶します。(この辺は常識的だな)
「まあまあ 気楽にして」
見渡せば自分の子供たちと同じくらいの若者ばかり。
若いからどんどん飲み食べます。そして屈託なく歓談しています。よくもまあこんなチープなお店で盛り上がるもんだな、と思いつつはるか自分の学生時代も母校近くのこの同じ店で騒いでいた事を思い出します。
IDAPが耳元で囁きました。
「あの、僕らOBが順番に何かひと事しゃべりますから、合図したら見や毛さんからお願いします。今日はカツラ芸なしで」
えっ!?カツラ芸なしで?
我が耳を疑いました。こいつIDAPの奴、カツラ芸をやらせるために僕を強引に誘ったのじゃないのか?
持病のめまいで今日は寝ていたかったのに遠路体を引きずって来たんだぞ、芸ネタは3つ用意してあるのに、どたんばで何を言うんだ。
皆の前でもめる訳に行かず、しおらしく
「あ、そ」とうなずいたカムーロ見や毛でした。
困ったな、スピーチなんていつもカツラ芸でごまかしているのに、それが出来ないとなるとスピーチの内容と質が問われるじゃないか。
今日はカツラが瞬時に脱げるように内蔵クリップは全てはずしてあり、それがためにカツラが微妙に浮いている。気になってしようがない。ヒトが当たってズレるかもしれない。
かと言って今ここでクリップを締めるのは不自然だ。トイレでも行ってこようか、そうだトイレで頭皮の冷や汗拭いてクリップを締めて来よう。
席を立ち上がろうとした瞬間 現役クラブの会長君が
「それではOB代表の見や毛様からひと事ご挨拶を頂戴致します!」
うう、タイミングが悪い。
「あ、見や毛と申します。三十数年前にこのクラブを作りました時にたまたま1番年長だったために、今のOB会の会長をしています。」
そんな事はどうでもいい。
以後何をしゃべったか、どんな無責任な内容をしゃべったのかほとんど忘れましたが1つ覚えているのは
「4年間は長いようであっというまに過ぎます。友だち探しばかりに気を取られず、せっかくこの大学やクラブに入ったからには1つ自分にしか出来ない物を掴んで作って行ってほしい。お父ちゃんお母ちゃんは口には出さないかもしれないけど、本当は学費を出すからにはその成果が欲しい。のです」
まるで我が家ののドラ娘にさとすみたいに自分でも長過ぎるかなと思うほどしゃべりました。
本心は
「ああ頭皮が蒸れる。今ここでさっとカツラ脱いだらどんなにすっきりするだろう。僕は髪フサフサおじさんなんかじゃない!カツラ脱ぎ捨てたい!ハゲ頭になりたい!」
「このままだと僕は嘘つきみたいだ。くっそ~IDAPの奴どういうつもりだ! この前何度かOBで飲んだ時、カツラ芸に一番大声で笑い転げていたのはお前じゃないか、バカヤロー!」
と叫んでいたのです。
写真内の言葉は後輩yasuが入れてくれました。
カムーロ見や毛
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ある日我が家に1本の電話が入りました。
母校のクラブ員は卒業30年も経つと人恋しくなるのか、互いの老け顔や間抜け顔を確認したいのかクラブOB会を作りました。
現役学生も卒業生も大勢いますが大体50代を中心にしたOB会をIDAPの呼びかけで作りました。
作って間もない頃のIDAPからの電話なのです。
聞けば来週現役クラブの新入部員歓迎会があり、OB代表として参加して欲しいとリクエストがある。
ついては最長老の見や毛が行かないとサマにならぬので、是非いっしょに行って欲しい、とすがりつくような声で言うのです。
毎年70人は新入部員が入って来る大所帯の現役クラブでの初夏のイベント「新入部員歓迎会」です。
正直言って何十年も交流のない現役クラブに顔を出すのはおっくうな気がします。
ただでさえ母校の学部は伝統的に常識はずれの変な奴ばっかで、加えてエイリアンみたいな若い世代と会いまみえるなんて考えただけで憂鬱になります。(これまでの人生、充分常識はずれだった僕も一瞬悩める人になりました)
「そこを何とか!」
IDAPに押し切られて行く事にしました。
はは~ん、あいつ飲み会でカツラ芸をやらせようと考えているな、と気づき当日2時間かけて皆の待つ飲み屋に駆け付けました。
新入部員歓迎会
来たOBは僕とIDAPとNUMAPの3人です。
現役会長が大号令をかけると全員が起立して挨拶します。(この辺は常識的だな)
「まあまあ 気楽にして」
見渡せば自分の子供たちと同じくらいの若者ばかり。
若いからどんどん飲み食べます。そして屈託なく歓談しています。よくもまあこんなチープなお店で盛り上がるもんだな、と思いつつはるか自分の学生時代も母校近くのこの同じ店で騒いでいた事を思い出します。
IDAPが耳元で囁きました。
「あの、僕らOBが順番に何かひと事しゃべりますから、合図したら見や毛さんからお願いします。今日はカツラ芸なしで」
えっ!?カツラ芸なしで?
我が耳を疑いました。こいつIDAPの奴、カツラ芸をやらせるために僕を強引に誘ったのじゃないのか?
持病のめまいで今日は寝ていたかったのに遠路体を引きずって来たんだぞ、芸ネタは3つ用意してあるのに、どたんばで何を言うんだ。
皆の前でもめる訳に行かず、しおらしく
「あ、そ」とうなずいたカムーロ見や毛でした。
困ったな、スピーチなんていつもカツラ芸でごまかしているのに、それが出来ないとなるとスピーチの内容と質が問われるじゃないか。
今日はカツラが瞬時に脱げるように内蔵クリップは全てはずしてあり、それがためにカツラが微妙に浮いている。気になってしようがない。ヒトが当たってズレるかもしれない。
かと言って今ここでクリップを締めるのは不自然だ。トイレでも行ってこようか、そうだトイレで頭皮の冷や汗拭いてクリップを締めて来よう。
席を立ち上がろうとした瞬間 現役クラブの会長君が
「それではOB代表の見や毛様からひと事ご挨拶を頂戴致します!」
うう、タイミングが悪い。
「あ、見や毛と申します。三十数年前にこのクラブを作りました時にたまたま1番年長だったために、今のOB会の会長をしています。」
そんな事はどうでもいい。
以後何をしゃべったか、どんな無責任な内容をしゃべったのかほとんど忘れましたが1つ覚えているのは
「4年間は長いようであっというまに過ぎます。友だち探しばかりに気を取られず、せっかくこの大学やクラブに入ったからには1つ自分にしか出来ない物を掴んで作って行ってほしい。お父ちゃんお母ちゃんは口には出さないかもしれないけど、本当は学費を出すからにはその成果が欲しい。のです」
まるで我が家ののドラ娘にさとすみたいに自分でも長過ぎるかなと思うほどしゃべりました。
本心は
「ああ頭皮が蒸れる。今ここでさっとカツラ脱いだらどんなにすっきりするだろう。僕は髪フサフサおじさんなんかじゃない!カツラ脱ぎ捨てたい!ハゲ頭になりたい!」
「このままだと僕は嘘つきみたいだ。くっそ~IDAPの奴どういうつもりだ! この前何度かOBで飲んだ時、カツラ芸に一番大声で笑い転げていたのはお前じゃないか、バカヤロー!」
と叫んでいたのです。
写真内の言葉は後輩yasuが入れてくれました。
カムーロ見や毛
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