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平成30年度二級建築士試験「建築法規」解説 Vol.2

2018-09-24 10:15:47 | ビジネス・教育学習
◇今週は、平成30年度の二級建築士試験「建築法規」の解説をします。
◇先週の木造建築士試験解説同様、毎日、5問づつ解説してきます。
◇巷に、二級建築士試験解説は溢れていますので、世間の解説とは、一味違うものを狙います。
◇二級建築士受験講座での講師キャリアを活かし、受験生の反応を反映した解説としています。
◇なお、問題文と正答表に関しては、公益財団法人建築教育普及センターのH.P.にて公表されています。

〔No.6〕は、軸組計算の図形問題です。風圧力を算定する場合、令46条4項に、床面から1.35m以下の部分を減じるとあるので、1階の2.85から1.35を引いて受圧面を計算すればよい。一応、地震力も確認しますが、二級の試験で、地震が不利になる問題は、考え難いです。
 正答3
 ・軸組倍率(令46条表1) :厚さ4.5㎝幅9㎝の木材の筋かい(4)項=2
 ・瓦葺き屋根の地震時の床面積に乗ずる数値(令46条4項表2):29㎝/㎡
 ・地震による必要軸組長さ:(各階床面積)70㎡×29÷2=1,015㎝
 ・風圧の見付面積(令46条4項):その階の床面から1.35m以下の部分を減ずる。
 ・[10×1=10㎡]+[10×2.5=25㎡]+[10×(2.85-1.35)=15㎡]=50㎡
 ・見付面積に乗ずる数値(令46条4項表3):50㎝/㎡
 ・必要な軸組長さ:50㎡×50(㎝/㎡)÷2=1,250㎝ > (地震)1,015㎝

〔No. 7 〕は、構造計算が必要か否かを問う問題です。法6条1項の二号、三号に該当する建築物が、構造計算の対象となります。その種分けが理解できていればいいのです。では、法20条による種分けとは、構造の適合判定の対象となるか否かの種分けをしています。法6条1項二号、三号を、規模により細分化しているので、マトリックス的に種分けすることになりますが、構造計算の対象か否かでは、考える必要はありません。
 正答4
 1.構造計算必要なし。法6条1項二号に該当せず、法20条1項二号、三号に該当しない。
 2.構造計算必要なし。同上。
 3.構造計算必要なし。法6条1項三号に該当せず、法20条1項二号、三号に該当しない。
 4.構造計算が必要。法6条1項三号に該当し、法20条1項三号に該当する。
 5.構造計算必要なし。法6条1項二号に該当せず、法20条1項二号、三号に該当しない。

〔No. 8〕は、建築物の構造強度に関する仕様規定を問う問題です。法令集で適合する仕様であるか否かを確認します。
 正答1
 1.適合しない。令38条2項:異なる構造方法の基礎を認めていない。
 2.適合する。令43条6項:有効細長比は150以下。
 3.適合する。令68条1項:高力ボルトの相互間の中心距離は、その径の2.5倍以上。
 4.適合する。令62条の8第二号かっこ書き:2m以下の塀は壁厚10㎝でよい。
 5.適合する。令78条の2第1項三号ただし書き内のかっこ書き:50㎝複配筋でOK。

〔No. 9〕は、防火区画、防火壁、間仕切壁等の問題です。既に改正法が公布され、法24条の適用が削除されましたので、今までの問題傾向が変わってきています。具体的に、令112条の異種用途区画で、二級や木造試験では、令112条12項の法24条の区分けによる問題が、再三、出題されていましたが、これが無くなります。従って、防火区画等の問題は、令112条9項の竪穴区画、令112条13項の特殊建築物の用途による異種用途区画、令114条の界壁(防火壁でもある)を問う設問へと変わってきます。改正法では「防火床」という概念が入るようで、令114条が、少々、ややこしくなることも予測され、防火区画の設問のラインナップが、来年の試験から、様変わりしそうです。
 正答5
 1.誤り。令112条9項ただし書き二号:階数3以下で200㎡以内の住戸内階段は、防火区画をしなくてもよい。
 2.誤り。令112条15項:不燃材料で埋める必要があり、準不燃材料では不適合。
 3.誤り。法26条、令113条1項一号、同二号:防火壁の構造は、耐火構造で自立構造であり、かつ、木造建築物の場合、無筋コンクリート造、組積
      造とすることはできない。
 4.誤り。令114条3項:建築面積が300㎡を超える小屋組み木造の建築物が、強化天井又は12m間隔の小屋裏に達する隔壁を要求されており、300㎡
      以下のものは、その必要がない。
 5.正しい。法26条:防火壁による区画の要求。

〔No. 10〕は、避難施設等に関する問題です。学生には、毎年諭しているのですが、令121条の2方向非難を問う問題は、毎年設問に入っています。加えて、1年ごとに正答として挿入されている、非常に重要なジャンルです。今回は、正答として入ってきました。重要な事は、同2項の緩和条件を理解することです。なお、今回は設問に入っていませんが、非常用照明の設置規定で、内装制限同様に、学校等が適用除外されています。学校等の定義は、避難施設の規定では、令126条の2第1項二号に定義されています。要注意です。簡単な事項ですので、覚えてしまえば法令集検索時間を削減できます。
 正答 3
 1.正しい。令126条の7第二号を参照
 2.正しい。令126条の4かっこ書きを参照
 3.誤り。令121条1項五号、同2項: 100㎡を超えるものは、原則として、2方向非難を要求しているが、主要構造部が不燃材料の下宿の場合、100㎡
      を200㎡と読み替えるとあるので、2方向非難を要求されるのは、200㎡を超えるもので、200㎡以下には要求されていない。
 4.正しい。令119条の表をよく見る
 5.正しい。令126条1項を参照

◇問題文と正答表に関しては、公益財団法人 建築教育普及センターのH.P.をご確認ください。
◇過去3年分について公開され、ダウンロード可能です。
◇二級建築士については、下記アドレスにて公開中です。
「建築計画と建築法規」の問題
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-mondai-h30-gakka1_2.pdf
「正答表」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-h30-gakkagoukakukijun.pdf

2018年9月24日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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