本や雑誌などの書籍を読むスタイルは個人によって様々でしょう。
私の読書スタイルは日中と就寝時に異なるテーマの書籍を読みます。
つまり1日にテーマの異なる2冊の書籍を読んでいる事が一般的ですが
同一の書籍を日中から就寝時に継続して読むこともままあります。
「土漠の花」

某週刊誌の文庫紹介で「自衛隊をリアルに描くサスペンス3冊」で知りました。
速攻で図書館に貸し出し申請して1番目に落掌しました。他の2冊は1週間遅れで落掌しましたが現在未読です。
この小説の舞台はジブチ・ソマリア・エチオピアの三国が間近に接する国境地帯です。
「NHKクローズアップ現代」でも["破綻国家"襲撃の潜入ルポ~混迷するソマリア・南スーダン~]として取り上げられており、氏族間の内紛をめぐって抗争が絶えません。
小説は氏族間の抗争に巻き込まれて死傷者をだしながら壮絶な撤退戦を展開する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭たちの物語です。
ネタバレ回避で詳細は述べませんが、手に汗を握るリアルなアクションの描写は正に冒険小説の王道をいくものでしょう。
我が国は「安全保障関連法」成立1年を迎えました。この小説は「安保法」制定前に執筆されていますので、戦闘や死傷者の事実はすべて事故として処理され表沙汰になることはない設定になっています。
日本政府は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で「駆け付け警護」を11月に派遣を予定する部隊に付与できるか近く判断することになりました。「安保法」の運用段階が本格的移行に伴って海外での武器使用が増え、戦闘に巻き込まれるリスク拡大は避けられないし、殉職者や戦傷者がでることもあるでしょう。
万が一戦闘に巻き込まれ殉職者や戦傷者がでた場合、政府は事実を隠蔽することなく国民に開示するとともに、殉職者・戦傷者および遺族・家族の方には国として、できる限りの栄誉・処遇でもって報いて欲しいと思います。
「ジハーディ・ジョンの生涯」

2015年1月20日、日本中に衝撃が走りました。オレンジ色のジャンプスーツを着せられた湯川遥菜さんと後藤健二さんの間にナイフをを振りして威嚇する覆面・黒装束の通称「ジハーディ・ジョン」の画像がイスラム国から公開され、72時間以内に日本政府は2億ドル支払えというメッセージを発しました。
しかし安倍首相は日本はテロリストとは交渉しないと断言しました。
2月24日イスラム国は斬首された湯川氏の写真を掲げる後藤氏の映像を公開しました。後藤氏は自分の命と引き換えにヨルダンに拘束されている女性自爆テロリストの釈放することだとの英語メッセージを読み上げました。このあと紆余曲折があるのですが最終的には交渉は不成立となりました。
そして運命の2015年1月31日イスラム国は後藤さんを斬首した映像を公開し、ジハーディ・ジョンと呼ばれるようになったジハーディストはメッセージを発しています。
そのメッセージの後段で「いかなる場所においても、引き続き日本国民を殺すだらう」と恫喝しています。
私は後藤さんの映像をYouTubeで見たのですが、遺体の腹部の上にのせられ驚愕の表情を浮かべた後藤さんの映像に衝撃をうけました。
そして、なぜこのような理不尽で冷酷なことができるのか、やりきれない思いがこみあげて来ました。この映像はすぐに削除されて現在は見ることができません。
ジハーディ・ジョンは日本人処刑を最後に表舞台から姿を消しました。
その理由はいろいろと云われていますが、ひとつには彼の正体がクウェート難民でロンドンに育ったムスリムのモハメド・エムワジであったということが暴露されたことがあげられます。
著者のロバート・バーカイク氏はジョン即ちエムワジと会った唯一のジャーリストだということです。そして著者はどのようにしてエムワジがテロリストに変身していったか、いろいろな角度から考察しています。
エムワジは米国から飛来したドローン プレデターによって爆殺され無残な最期を遂げますが、これで終わりではないと著者はいいます。
即ち「モハメド・エムワジは殺されても、ジハーディ・ジョンの代わりはいくらでもいる」としてこの評伝が終わっています。
今日、テロのニュース報道は後を絶ちません。
日本人がムスリムとなりイスラム過激派に洗脳されてテロリストに変身して、日本国内や外国でテロを起こすといったことも十分想定されます。
一見平和そうに見える日本ですが政治や宗教目的で暴力に訴えるテロもいつ起こるかわからない状況であるといえます。海外のテロ事件は他人ごとではなく、私たちも常にテロの危険性にさらされていることを忘れてはならないでしょう。
一方において例えばムスリムであるがためにいわれなき偏見から差別・迫害されるといったこともあり得ることです。
ここに冷静な判断が必要とされますが、なかなか難しいといわざるを得ません。