(内閣府 セクハラ防止ポスター)
2,3日前、こんなニュースがありまして、
〈米国各地のラジオ局がクリスマスソングをひたすら流す時期がやって来た。しかし、ある定番ソングが、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の流れで論争の的となっており、複数のラジオ局がこの曲を放送中止とする措置を取った〉
*AFPBNEWS:クリスマスの定番曲、#MeToo運動受け放送中止に 米ラジオ局
→http://www.afpbb.com/articles/-/3200640
ああ、「またか」というか、「それもか」というか、何やらため息がでました。
問題になってる歌というのはコチラなんですが、
Baby it's cold outside
アレコレ言い訳して家に帰ろうとする女性と、どうにかして引き留めるために「外は寒いよ」とか言って口説いている男性との掛け合い、というだけの他愛ないものです。そんなんでさえも「#MeToo(私も)」の人達にかかると「セクハラ」ですからね。ツマラナイ世の中になったもんです。
ちなみに、歌詞の内容を知りたいという素晴らしい方はこちらでご確認を。
*MUSIC PAPER洋楽歌詞のんびりまったり和訳中:BABY IT'S COLD OUTSIDE -Neptune's Daughter-
→http://rie-musicpaper.blogspot.com/2013/12/baby-its-cold-outside-frank-loesser.html
で、関連してちょっとネットの海を泳いでいたら、こんな話もありまして。
〈内閣府が公開したセクハラ防止ポスターについて、ツイッター上などで疑問や批判が相次いでいる。こんな発言がセクハラ?と言っているように、逆に受け止められかねない内容のためだが、ポスターを擁護する声も出ていて論議になっている〉
*J−CASTニュース:「セクハラおっさんを守るポスター」と批判続々 それでも内閣府が撤回しないわけは?
→https://www.j-cast.com/2018/11/16343961.html?p=all
ご存知の方も多いかもしれませんが、それが冒頭のポスターですね。
確かに、パッと見「これもセクハラになっちゃうの?」と困惑している、すなわち(この場合の)男性側を擁護しているようにも受け止められかねないのですが、続けて「セクハラを決めるのは、あなたではない!」「相手や周囲に配慮した言動を!」って書いてありますから、ま、批判的な意見のほとんどは誤解からきているのでしょう。
ポスターを紹介している男女共同参画局の「平成30年度 女性に対する暴力をなくす運動」ページには、動画も4パターンあって、これを見ると内閣府の意図はさらにはっきりします。短いものですが、閲覧するのはそれなりに手間かも、なので文字起こしを。
動画A
男性「みきちゃん、今日の服かわいいね! 俺、好みだな」・・・女性(関係ないでしょ)
ナレーション:ほめているつもりでも相手は不快に思っているかも。・・・男性「え、これもセクハラ?」
ナレーション:セクハラを決めるのは、あなたではない!・・・男性「皆さん、相手や周囲に配慮した言動を」
動画B
男性「ちょっと痩せた? いいよいいよ、綺麗になったよ!」・・・女性(そういうとこだけ見てるんですね)
ナレーション:気を利かせたつもりでも相手は気を悪くしているかも。・・・男性「え、これもセクハラ?」
ナレーション:セクハラを決めるのは、あなたではない!・・・男性「皆さん、相手や周囲に配慮した言動を」
動画C
男性「今夜メシどう? 二人っきりで。何食べたい? ほら、言って」・・・女性(2人!? また?)
ナレーション:上司だからNOと言えないだけかも。・・・男性「え、これもセクハラ?」
ナレーション:セクハラを決めるのは、あなたではない!・・・男性「皆さん、相手や周囲に配慮した言動を」
動画D
男性「何、彼氏いるの? 上手くいってんの? 結婚は、いつ、いつよ?」・・・女性(プライベートは話したくないんだけど!!)
ナレーション:この程度ならOKと勝手に思い込んでいませんか?・・・男性「え、これもセクハラ?」
ナレーション:セクハラを決めるのは、あなたではない!・・・男性「皆さん、相手や周囲に配慮した言動を」
*内閣府男女共同参画局:平成30年度 女性に対する暴力をなくす運動
→http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/no_violence_act/index.html
まあ確かにね、知識として「今時、そういうのはセクハラと言われかねないね」くらいには思います。けどね、「セクハラを決めるのはあなたではない!」―すなわち「加害者」の意図はどうあれ「被害者」が不愉快に感じたらそれはセクハラだという(今流行中の)理屈を認めてしまったら、もう、人は皆貝になるしかありません。
「相手や周囲に配慮した言動を」なんて、耳に心地よくもっともらしく聞こえますけど、その配慮が正解か否かは、結局相手や周囲の心証次第なわけですから、100人いれば100通り、気配り・心遣いを「いやらしい」「気持ち悪い」と感じる人もいるでしょう。となれば、セクハラ根絶なんて事実上不可能なことを要求されてるわけでして。
ともかく、一般論として「それはセクハラです」とか指摘するんじゃなくて、はっきりと「(他の人は知らないけれど)私はその言動が不愉快です」と、はっきり言ってもらわないと。世の中、そんなに「察しの良い人」ばかりじゃないんですから。
こんなのがありました。
自分では何気ない言動でも、相手にとっては堪えがたい羞恥心を与えてしまったり、男性に少しでも触れられること自体強い抵抗を抱く女性も多くいます。
そして、何も言わないからといって許容されているのではない、ということを肝に銘じましょう。
女性社員が何を気にして何を嫌がるか、それをしっかりとわきまえてこそ、働きやすい環境を作ることができるのです。
*社会人の教科書:部下を持ったら気を付けましょう!これもセクハラ50選
→https://business-textbooks.com/sexualharassment50/
これもね、ひとつひとつを見ていけば「(あなたは)そうなんだね」とは思います。
さらに、こんなのもありました。
〈ハラスメントは行う方の意識の有無に関係がないため、たとえ本人にそのつもりがない場合でも相手を傷つける行為、苦痛を与える行為、不利益を与える行為などはハラスメントに該当します〉
閉じられた人間関係の中で、気付かない内に「ハラスメント」は発生しています。
そして、これらのハラスメントは「人権侵害」であり、本人同士や周りの人間を含め解決していく必要がある重大な問題です。
最も大切なことは、自分の行動が同じ環境にいる人間に不快感を与えていないかどうか、ということを自ら振り返ること。
自分の何気ない言動が相手にとっての「ハラスメント」になっていないか、一度自分の普段の行動を見つめ直してみましょう。
*社会人の教科書:全35種類の○○ハラスメント一覧
→https://business-textbooks.com/harassment32/
何ともはや「行う方の意識の有無に関係がない」「本人にそのつもりがない場合でも」ってことで、なんでもかんでもハラスメント。世の中、人を黙らせる便利な言葉として「〇〇ハラスメント」増殖中です。
いや、もちろん「法的」には、そんな極端なことを言ってる人は少なくて、
職場におけるセクハラは、職場で働く人の意に反する「性的な言動」によって起きるもので、判断基準は「平均的な女性労働者の感じ方」「平均的な男性労働者の感じ方」です。
*琥珀法律事務所:セクハラといっても、どのような行為がセクハラに含まれるの?
→http://www.kohaku-law.com/cons/sekuhara/
と、まあ「分からなくもない」判断基準を示してくれてはいます。ただ、この説明にしても「意に反する」とか「平均的」とか、曖昧模糊とした言葉を使ってますからね。
で、こんな意見もあるわけです。
「日本では、性差別とは何か、セクハラとは何かが法律のどこにも書いていない。ほかの国ではありえないことです」
*The Huffington Post:「セクハラは政治的行為だ」“セクハラ禁止法”のない日本、対策めぐり専門家が指摘
→https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/05/sexual-harrasment-law_a_23610092/?ncid=newsletter-Japan%2020181207&utm_campaign=newsletter_Japan%2020181207
全体的なトーンとしては、あまり同意できないんですが、「セクハラ」を法的にきちんと位置づけなさい、という、その一点には賛同しますよ。
本来、法的にであれ、倫理的・道徳的にであれ、一般論としての事の善悪・可否は「人の受け止め方」に依存させちゃいけないわけでして、同じ言動が、とある人に対してはセーフ、とある人に対してはアウト、なんて、物凄く困った話です。
ついでに言えば、同じ言動をされても憎からず思っているあの人ならセーフ、同じ空気吸いたくもないあの人ならアウトって面もありそうですしね。あ、これは言っちゃダメ?
ちなみに、内閣府の動画を見た(ワタクシではなく!)ウチの奥様は「これ自体は、そりゃそういう人もいるんでしょ、と思うけど、逆パターン(女性が男性に「セクハラ」する)も作ってほしいよね」なんて言ってます。
(上に貼ってある♪「Baby it's cold outside」の動画では、後半が「逆パターン」になってます)
ま、それはともかく、こんな「何でもかんでもハラスメント」な世の中にあっては、うん、そうですね、「私は貝になりたい」ですわ。ならないけど。
(私は貝にならないので、どさくさに紛れてこっそり主張)
35種類の○○ハラスメントの中で、この2つは個人的に賛同します。特に「エアハラ」は猛烈推奨したい。
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
「男らしさ」「女らしさ」を強要するいやがらせです。
性的ないやがらせですが、「セクシャルハラスメント」とは異なり、一般的な「男らしさ」「女らしさ」の物差しから外れた行動を非難することで被害者をいじめることです。
「男なのになよなよしている」「女なのに大食いだ」など、性別に関する偏った見方が引き起こすハラスメントです。
職場でもお茶汲みを女性社員だけにさせる、体力を使う仕事を男性社員だけにさせる、などのジェンハラがあります。
また、同性愛者に対するいやがらせも含まれます。
エアーハラスメント(エアハラ)
空調に関するいやがらせです。
例えば会社で節電を理由に猛暑日でもエアコンの使用を禁止したりして、体調を崩したりすることがエアハラに当たります。
また、男女や個人でも体感温度には差があり、エアコンの1、2度の設定温度の差でも熱い、寒いの感じ方が違うことがあります。
寒がる同僚の主張を無視してクーラーを強くかけたりするなどもエアハラとなります。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
セクハラに関しては前にもちょっと書きました。お時間あればどうぞ。
#072 何でもかんでも「ハラスメント」
→https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/3b0a95b963621b7eaef7f9d34e39eb9d
#140 それもセクハラ? 誰が誰に?
→https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/149f436d03be18e83299e557809ab461
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