角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#243 (遅れ馳せながら)これが、いわゆる従軍慰安婦問題に関する「政府見解」です。

2018-04-08 06:26:41 | 「従軍慰安婦」の噺
衆議院外務委員会 平成30年3月28日(水)―衆議院インターネット中継よりキャプチャー



やや鮮度が落ちた話ではありますが、3月28日、その前日に行われた財務省前理財局長佐川宣寿さんの証人喚問に引き続き、参議院予算委員会(TV中継あり)ではシツコク「森友」をやってたそのウラ(?)の衆議院外務委員会(もちろんTV中継なし)で、素敵な質疑応答がありました。

*衆議院インターネット審議中継:ビデオライブラリ 2018年3月28日(水)外務委員会
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47952&media_type=fp

ネット上ではそこそこ取り上げられてましたが、杉田水脈さん(比例中国ブロック)によるものですです。テレビ・新聞など既存メディアは例によって「ばっかり報道」、オモテ(?)の森友に夢中で完全スルー。予想どおりで参っちゃうな、ってなもんです。


さて、その杉田水脈さん、29分の持ち時間を使い、

①マラケシュ条約(盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約)について
②船舶再資源化香港条約(2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約)について
③いわゆる従軍慰安婦問題について

の3点を質問してます。

②はともかく、個人的には①にも興味があるのですが、今回はやはり③についてですね。

「慰安婦問題」はあくまでも(決着済みの)外交問題であって、人権問題ではないこと。
米国グレンデール慰安婦像(正確には、その碑文)裁判に関する政府の意見書(2017-2/22)が英文しかないこと。
(*外務省:米国グレンデール市慰安婦像訴訟日本国政府の意見書提出→http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/rp/page3_002006.html

等確認した後で、国連女子差別撤廃委員会における我が国外務審議官の発言(2016-2/16)を紹介しつつ質問しました。


これも確認しておきたいと思うんですけれども、この女子差別撤廃委員会の、えーと対日審査において、杉山審議官がこの2月16日にジュネーブで発言したこの内容というのは、これは政府の正式見解とみてよろしいですか?

直球勝負で気持ち良いですね。これに対する外務省大臣官房参事官の答弁が、

委員ご指摘の審査におけます杉山外務審議官、当時でございますけれども、の発言は日本政府の見解を述べたものでございます。

おお! 政府答弁としてはものすごく明快。それで良いんだ!って感じです。実際、この後「正式見解ならもっと分かりやすく目立つところに」とか「強制性を匂わせる英文記述の訂正を」という趣旨の質問に対しては、いわゆる官僚答弁に徹していただけに、余計にそう思います。


ということで、杉田さんが質問の中で言及していた「政府見解」の中身を、ここで改めて。

日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる「強制連行」を確認できるものはなかった。

「慰安婦が強制連行された」という見方が広く流布された原因は、1983年、故人になった吉田清治氏が、「私の戦争犯罪」という本の中で、吉田清治氏自らが、「日本軍の命令で、韓国の済州島において、大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造して発表したためである。

また、「20万人」という数字も、具体的裏付けがない数字である。朝日新聞は、2014年8月5日付けの記事で、「『女子挺身隊』とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で、女性を労働力として動員するために組織された『女子勤労挺身隊』を指す。(中略)目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ。」とした上で、「20万人」との数字の基になったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めている。

なお、「性奴隷」といった表現は事実に反する。

「当時の軍の関与の下に」というのは、慰安所は当時の軍当局の要請により設置されたものであること、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送について日本軍の関与があったこと、慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者がこれに当たったということは、従来から認めていることである。


*外務省:女子差別撤廃条約第7回及び第8回政府報告審査(2016年2月16日、ジュネーブ)(質疑応答部分の杉山外務審議官発言概要)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/rp/page24_000733.html


はい、そんなわけで皆さん、今後「従軍慰安婦」については、上の点だけ押さえておくことにいたしましょう。何しろ正式な「日本政府の見解」ですから。


逆に、大臣官房参事官の答弁にあった「歴史問題Q&A」の問5 「慰安婦問題に対して、日本政府はどのように考えていますか。」に書いてあることは、これも政府見解かもしらんけど何か色々言い訳臭くて、正直、どうでも良いです。

*外務省:歴史問題Q&A
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/qa/


なので、そこからリンクで云々っていうのは、杉田さんご指摘のとおり、確かに、ちょっとどうだろう、って気はしますね。

そもそも【トップページ > 外交政策 > 日本の安全保障と国際社会の平和と安定 > 女性 > 女子差別撤廃条約 > 女子差別撤廃条約第7回及び第8回政府報告審査】という奥まったところにある、っていうのが問題で、せいぜい、2、3回のクリックで行けるところにしようよ、と思います。「女子差別撤廃条約」を知っていれば、そこから検索で行けますけどね。


蛇足ながら、上の意見書のホームページ記載について杉田さん、

これね、よっぽどこの問題に関心があって、よっぽどマニアックに調べた人でないと、ここまでたどり着きません。

と仰ってるんですけど、うん? そこそこ関心はあるけれどそれほどマニアックではないワタクシでも、一応、前から知ってはいましたよ。まあ、それはたまたまで、どういう流れでたどり着いたんだったか忘れてしまいましたが。


ただ、政府報告審査当時、(産経では)それなりの記事になったことを覚えてます。





(いずれも産経新聞 平成28年2/18大阪6版)


ともあれ、そこから2年余り、明確に、これが「政府見解」だという答弁を引き出したってのは、素晴らしいことだと思います。素敵。

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関連過去記事。よろしければどうぞ。

PROM.17 官僚=国民の似姿
https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/44f8987c941f44e39920b4284b8f19f3

#123 「国連」と言っても、要はその程度
https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/a723508bc58724af611e2e72cbfe2d3c

#159 「オーストラリアに慰安婦像」・・・もうイイですよ。
https://blog.goo.ne.jp/kawai_yoshinori/e/a3a32b4299577d40ab9eccdeef06ce43


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