From Wellesley

ボストン郊外にあるBabson MBAでの2年間の艱難辛苦を赤裸々につづる・・・でしたが、最近はJGC修行に模様替え

ライブドアとフジテレビ

2005-02-16 07:37:42 | ニュースネタ
先週からライブドアとフジテレビが非常に面白いことになってるけど、今回の「ケース」はいろいろな意味で勉強になりますね。主なトピックはファイナンス、法律、そしてマーケティングでしょうか。僕は、MBAプログラムに在籍中で、こんな話を勉強している身ではありますが、このケースに関する自分の意見はまだまだ恥ずかしくて披露できないのですが、別の意味で思ったことがあるので、すこし書いてみました。

一連の話はここでおさらいしてください。

週末に、ずいぶんいろいろとこのネタについて調べてて思ったのだけど、ブログの存在は、「IR (Investor Relations)」や「PR (Public Relations)」の形態を変えていく要素の一つになるだろうなと感じました。ついでに、コーポレートガバナンスの話も関連してくるかもしれません。

ブログは一つの手段なので、別にブログにはこだわっていませんが、要は、多くの個人、特に今までは心情を知り得なかった「公人」や「有名人」が自分の情報を発信しているという部分がポイントです。

今回のライブドアのケースで言うと、ライブドア社長の堀江氏は、記者会見を開いてニッポン放送の経営権を握りたいと発表していますが、その一方で、それに至る心情などを彼個人のブログ(http://blog.livedoor.jp/takapon_jp/)に掲載しています。さらには、副社長の熊谷氏は「日々の業務(IR等)(http://blog.livedoor.jp/livedoorIR/)」という(おそらく半オフィシャルの)ブログを書いています。

(ちなみに、ここより下は堀江氏の批判めいたことも書いていますが、僕は堀江氏に対してネガティブではなく、むしろ尊敬の念すら感じています。)

何が言いたいのかというと、堀江氏は記者会見も開き、公に対しては「真面目な」対応をしている一方で、彼のブログを読むと、「面白いことやろうよ!」みたいななんとなくあっけらかんとしているというか、悪く言えば人を食っているというか、そんな彼の姿が垣間見えるわけです。おそらく、フジテレビの経営陣が、彼のブログを見たら怒るだろうなと思います。

8日の堀江氏の記者会見の様子は残念ながら見ていないですが、まさか記者会見で「・・・面白いことやろうよ!私が特殊なのかもしれないけど、人間は生まれたときは裸。クソみたいなプライドにこだわるくらいなら、間違いなく面白いことをやるほうを選ぶね。(堀江氏のブログより引用)」とは言わないでしょう。

今、堀江氏はライブドアの経営者なわけであって、彼の考えは大きく会社の経営に反映されるわけです。彼のブログを見た投資家、顧客、社員、関連企業などのステークホルダーだけではなく、僕らのような一般の人は、ライブドアという会社と堀江氏個人にどういう感情を抱くかということがポイントになります。特に、ステークホルダーが彼個人のブログにどう反応しているのかに興味があります。

感じ方は人それぞれでしょうから、ネガティブに感じる人もいればポジティブに感じる人もいるわけです。それによって、投資をしたりやめたりする人もいれば、ライブドアに入社したいと思う人も退社したいと思う人も出てくるかもしれません。もしくは、ライブドアに興味を持ってライブドアのサービスを使う人も出てくれば、逆に腹が立ってサービスの利用をやめる人もいるかもしれません。

経営者個人のブログの存在は、会社やIRやPRの要素の一つとなりつつあるのではないかなと。

たしかに、個人のブログの内容の正確性については全く誰も保証できないわけですから、IRやPRのソースとしては不適格だという批判もあるでしょう。また、個人のブログなどを見てる人はまだまだ少ないでしょうから、マスメディアとしての影響もかなり小さいでしょう。しかし結局、投資をするしない、サービスを利用するしないなどは、出資者や購買者自身が決めることですから、この手の個人のブログというものに影響される人がいないとは言えないはずです。メディアとしても、有名人になればなるほど、そのブログの「視聴者」も多くなってくるはずです。

実際に、たとえば僕が通う学校でも、日本人向けに情報を発信している半オフィシャルのブログがあって、日本人応募者の何人かはそこを情報ソースとして意識しているわけです。かなりレアケースですが、僕のブログを読んでる方もいますし。そのブログのコンテンツを「有益だ」とか「無益だ」と思った瞬間に、すでに意志決定の要素となるわけです。

堀江氏個人のブログは個人のものなので、何を書いても自由・・・でしょうか?
通常の会社では、プレスリリースをする際には、会社の中で所定の意志決定をした上で発表しますが、個人のブログにはそんな手続きは必要ないですよね。そのような状況で、ライブドアの代表権を持つ堀江氏個人のブログや副社長の熊谷氏のブログに書いてあるネタは、僕が会社の経営者なら「リスク」だと思います。

たとえば、熊谷氏の15日のブログなどは、そこまで言っちゃって良いの?と思わせるネタもちらほら。半オフィシャルIRブログで、どこまでが個人の意見なのかどこまでが副社長としての意見なのかよくわからないという点はやっぱり問題かなと思います。2ちゃんねるで、匿名で会社の裏事情とかを暴露する人がいますが、ブログに自分の名前を出した上で書いている人は、2ちゃんねるよりも情報の信憑性は相対的に高いですよね。

一般の経営者なら、所定の手続きを踏まずに、会社の経営に関することを公に発信するというのは、リスクと考えるべきと思いますが、彼らのブログはどうなのでしょうね。とか言って、今回のケースでも、彼らはあたかも個人の意見のように書いてますが、実はライブドアの経営会議とかで日記の内容についてあらかじめ議論されてたりして(笑)

とにかく、繰り返しになりますが、人が何かの意志決定をする際に、こういった個人のブログを参考にして、これを意志決定の材料の一つにしようとしている人は確実に存在すると思います。そうすると、新聞やテレビのように書き手に対しても何らかの責任が発生してくるのではないかなとも思います。僕ですら、このブログを書く時には数少ないこれを読んでくれているであろう皆さんを意識しています。

インターネットを通じて個人が情報発信するなどということは今や常識で、個人が情報発信をするのは誰も止められませんが、今後、こういうのがもっと当たり前になっていく中で、会社はこういう事のリスクとリターンをもうちょっと真剣に考えて行かなければ行けないのかなと思いました。

昔から「情報のリーク」は情報発信の一つの形態として、企業においてもごく当たり前に使われてきていますが、いずれブログもそのような使われ方をするのではないかと考えればいいのかもしれません。その他にも、もっと企業にとってお金になる使い方もあるかも。まぁ、ブログがそういう意図で使われ始めたらブログも面白くなくなってくるのでしょうけど・・・

#うちの会社の社長のブログとかってあるのかなぁ >関係者各位
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