興毅クン、ずいぶんと叩かれています。
２日は残業でリアルタイムでは試合は見られなかったのですが帰って来てから夜中にしっかり見ました。ここに雑感を記したいと思いましたので昨日の夜ももう一度見ました。（夏休みなもので結構暇してます）某元世界王者が７ポイントは負けていたとの発言。ＴＢＳに判定がおかしいとの抗議の電話が６万件。ボクシング観戦歴３５年の目でしっかり見てみようと思ったわけです。僕は輪島功一氏が世界チャンプになった頃からの生粋のボクシングファン。僕なりのこの試合の見解をここに記しておこうと思います。
まずはこの試合の判定はラウンドマスト方式だったと言う点を考慮しないといけません。ラウンドマストというのは昔はなかったのですがドローをなるべく避けるために当該ラウンドを無理やりにでも差をつけた判定をするという方式。つまりイーブンにしないで何とか１０対９とつけましょうと言う採点方式。下記のような採点基準でジャッジは見ることになっています。
（1）クリーン・エフェクティブ・ヒット（有効であるかないかは、主として相手に対して与えたダメージに基づいて判定される）
（２）アグレッシブ（攻撃的であること。ただし単なる乱暴な突進は攻撃とみなさない）
（３）ディフェンス（相手の攻撃を無効にする防御。ただ単なる防御のための防御は採点されない）
（４）リング・ゼネラルシップ（試合態度が堂々とし、戦術、戦法的に優れ、巧みな試合運びで自己のペースに持っていくこと）。
抗議の大半は1Ｒに興毅がダウンしたこと、11Ｒはダウン寸前だったことのイメージが強すぎるのでしょう。個人的には１２Ｒは微妙だと思っているのですがとにかく後半のイメージが興毅がグロッキーに見えるから判定がおかしいと言うことになるのでしょう。それで抗議が６万件ですか。でも、少なくともその一般大衆の見方は間違ってます。
はたしてそんなに疑惑の試合なのでしょうか？イーブンをつけられる判定システムなら極論を言ってしまえば１Ｒが１０対８で１１Ｒが１０対９。（郡司さんの採点は５対５でイーブンです・・ってアナウンスが思い出されます）それだけの試合ともいえます。昔なら３ポイント差で亀田の負けです。ただ今は上記のような判定のシステム。２Ｒから１０Ｒまではどっちにつけてもいいほど微妙なラウンドが積み重ねられていたのです。ジャッジが上記のどの採点基準を重視するのかでどちらの選手を優勢とするのか、微妙なラウンドが多かったのも事実なのです。
ラウンドマストで採点するなら僕なら２・３・５・９Ｒは亀田のポイントと見ます。ランダエタは１・１１はもちろん４・６・７は取っていたでしょう。１０Ｒと１２Ｒは微妙ですね。まあ、結局１～２ポイントは負けていたと見るのがボクシングを知ってる人が見る常識的見解なのではないでしょうか。
ただ１・２ポイントはホームタウンディシジョンの範疇内ですよ。大騒ぎするほどのことではありません。輪島功一氏のアルバラードとの１戦目は（結果的には15ＲＫＯ負け）亀田以上にグロッキーでもＫＯされずに１５Ｒ立っていたら判定勝ちでしたし。昔からホームタウンディシジョンなんて当たり前です。したり顔でコメントする過去の世界チャンピオンだって、何度地元びいきの判定に助けられたことなのか。サッカーだってアウエーよりホームが有利なんでしょ。
ただ、冷静な結論としてはドローで良かったんじゃないかと思いますけど。ドローならこんなにバッシングの嵐にはならなかったのだと思います。防衛戦じゃないんだからドローならリマッチ。それで良かったんじゃないですかね。
後は、ＴＢＳの番組作りもまずかった。青コーナーの選手が後から出てくるなんて普通はありえません。選手のクレジットも青の亀田が上だった。演出がアポロクリードとイヴァンドラゴのエキジビションマッチを彷彿とさせました。ロッキーです。アポロが死んじゃったやつね。これはエキジビションじゃない。真剣な世界タイトルバウトなんだってＴＶ局は理解できていたのでしょうかね。ＴＶ局の極端なショータイム化もバッシングに拍車をかけたのじゃないかと思います。
こんな亀田擁護論を言うのは僕だけですかね。億単位の経済効果を背負って戦った１９歳の青年をこんなにバッシングしてもいいものなのか。大人の経済の皮算用にタレントとして舞台に立っただけじゃないですか。１１Ｒに倒れなかっただけでも彼には背負った何億円の重さを十分に理解していたと考えるべきじゃないのでしょうか。そこで倒れなかったその本当の根性を称えてあげるべきだと思います。
