歌うKANOKO

クリスタルボイス
Singer 野村佳乃子のひとりごと

チャイナタウンの夕暮れ

2006-03-16 | Weblog
ひょんなことで横浜中華街で食事をすることになった。
友人達は「佳乃子さん、どこかおいしいお店へ連れて行ってください。お任せします」とのたまふ。
「私は今まで中華街で“ここは美味しい、ぜひまた来たい”と感じるような体験をしたことがないので、分かりません」と返事したものの、友人2人は数年ぶりだというし、私は逆に最近よく中華街へ来ているので、責任?を感じたのであった。
「洗練されたお店と、ローカルなお店とどちらがいいですか?」とお2人に聞くと
「ローカルなお店が良い」と声をそろえてのたまふので、「では大通りはダメですね。」路地を探してみましょう、ということでウロウロと彷徨った。

さてそれにしてもどこも同じように見えてしまい、ますます判断がつかなくなった。ウマイものにありつく天性の勘には自信があるが、自負しすぎると自慢の鼻もきかなくなる。正直中華街では全く機能しないといっても良い。
最初はこの街で一番んまいお店で食事する!と気持ちが燃えているが、だんだん探し疲れてきて最初のやる気はどこへやら。食べられればなんだっていいや!となげやりな思考へ移行する。
そうなると100%他力本願となり、先客で混んでいるお店にしてしまおう。という気持ちに支配される。
そんな時今夜見つけたのが香港ロードの「海員閣」。
いやに歴史がありそうな(要するに古ぼけている)ハデハデ中華街に似つかわしくない地味さ(かなり粗末)な店構え。
中華街は夕暮れ時に差し掛かった頃で夕食には早い位の時間帯。しかも平日とあって、町全体が閑散としていた。
ところが海員閣は満席なのである。そして次から次へと人が吸い寄せられて入店していく。なんなんだ、この人気は!?気になっている所へ初老のご夫婦が「ここだ、ここ。海員閣は。」と探し当てた!という風情で、やはりドアの向こうへ吸い込まれていったのを見て私達の決心は固まった。オシ、今夜の夕食はココでキメよう。
一階は満席だったので二階席へ案内された。
二階もほぼ満席。すごいなあ。
そしてなぜか座敷なので、靴を脱いで畳に座って。。。中華街なのに。

メニューはいたってシンプル。
鳥の冷製、シュウマイ、八宝菜、五目かた焼きソバ、牛バラ煮込みソバ等をオーダーした。

「・・・・・・・・・。」

ここで食したものを語るのにあまり多くの時間とエネルギーを割きたくない。
*まずどの料理も見た目がきたならしい。野菜の切り方は不揃いで雑。とてもプロの料理人の技だとは思えない。
シュウマイに至っては失敗作にしか見えない。皮は破れ、崩れたカタチで供される。
*味は不味いわけではないが、おいしくない。ただ、なぜか懐かしさを感じる平々凡々さ
*牛バラ煮込み麺はおいしかった。肉の味を楽しめる一品。
*鶏肉は骨と皮だらけで可食部が異常に少ない。。。
接客はざっくばらんというかぞんざいというか、親しげなのかいい加減なのかよくわからん。隣のテーブルのグループにはおしぼりを間違えて二度も持ってきていたのに、私達には持ってきてくれないので要求するとなぜかウエットティッシュをシュッシュッとケースから取り出し、3枚だけ渡された。なんなの。この扱いの違いは?!?
お料理が出てくるまでずいぶん待たされました。
やっとお皿が来て、ドンっと私達のテーブルに置かれたが、実は隣のテーブルに載り切らないからまずこっちに載せるらしい。びっくりした。

「追加オーダーは時間かかるからね」とオバちゃんはやんわりと追加注文を拒否。一度で全部オーダーしなくてはならないシステムらしい。
オバちゃんは「麺類から先に持ってきて良い?」と、お店の都合をさりげなくアピール。
オバちゃんはぬるいお茶が入ったやかんを持参し、「冷めちゃったけどこれで良い?熱いお茶が良いなら温めてくるけど」と仰るので「…ぬるくていいです…」と全員が迷わず返答。何のお茶かわからないが明らかに出がらしの色もほとんどついていないぬるいお茶をすするしかない。言うまでもないが食器の善し悪しは論外である。
この店により良い扱いを求めるだけ消耗な気がしてくる。貧乏臭い気持ちになってくる。角度を変えて見ると貧しさを体験できる昭和レトロが生きているお店といえるかもしれない。

「なんでこんなに人気があるのか分からない…」
全員一致の感想だった。
食事中、ずっと「どこがいいのかな?」「世の中には私にはわからないことがたくさんある」と、皆してけっこうマジで悩んでしまったよ。全員で「…勉強になりました…」と結論付けました。。

デザートとお茶だけできるお店を探したが、中華街にはほとんど無いみたい。
聘珍楼の飲茶コーナーで受け入れてくれたので無事デザートにありつけました。
先ほどまでと天と地ほどの差があるインテリアとサービス。
中華街とは思えないシックなインテリア。丁寧で礼儀正しい接客。テーブルクロスとナプキン、そして熱いおしぼりの幸福がここにはあった。
香港で楽しんだなつかしの美容デザート亀ゼリーや、私の大好物中華風プリンや、マンゴープリンなどを皆でおいしいお茶と共にシェアして、女同士のお喋りは尽きることなく、夜は更けていったのでありました。。。

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