一途でいこう。
一途のすすめ。
子供の頃から其処にある山は何十年経った今も其処にある。
いろんなことがあった山。
子供の頃、遠くから見る山の陰影に想像から一喜一憂した。
無謀にも、あの山の向こう側にある景色がみたいと登ったことがある。
中学の時、帰りにふと見る山は全く違う形をしていたのには驚いた。角度が違うから。
四国に行ったとき、枯れ行く山を見て、この山を思い出した。
五島のカルデラから見下ろしたとき、向こう側を覗いたことを思い出した。
大雨で土砂崩れが数えきれ無いくらいあり、たんびに表情を変える。
山肌が傷口のように痛々しく見えた。
何年もかけて、緑が傷口を覆い隠す、
何度も何度も。
ふと見るあの山は今もそこにあった。
あれ、子供の頃からだいぶ形を変えたのかな。
随分小さくなったんじゃないか。
いや、私が大きくなったのだ。
でも、やはり私はこの山に抱かれている。
相も変わらず、何も言わず、ただひっそりと。
きっとこれからも変わらない。
多少印象を変えたとしても。
私も誓おう。
どんなことがあっても。
私はこの山を愛している。
いずれ皆に忘れられる山だろう。
この村の消滅と共に。
ただ私は違う。どこにいても慕う。
私は山伏。
彼女の名は、大平山。。。