先日、ホンダさんのバザーのあと・・母のところに行ってきた
大好きな・・いくらとお寿司を持って・・・
最初に見た母の顔色は・・思いのほか元気そうで
少し気が楽になる・・・
個展などがあって・・しばらく訪れる事が出来ないと
久しぶりに行ったとき・・もっとわけのわからない人になってしまっているのでは・・
と・・びくびくする
初めから・・割とスムーズに会話が成り立って
胸をなでおろしながら・・リュウマチで歪んだ手をさすたり
肩を揉んだりする
ただ・・食べ終わった母の話す内容は・・・
まるで・・・旅芸人の舞台を見ているようで
男の人と女の人と子供が出てきて・・・
母はまるで役者のように
大きな声で怒鳴ったり・・｢オトウサンやめて下さい｣・・と泣いたり
表情も・・抑揚も・・びっくりするぐらいリアルに演じて
わたしは・・・
一人芝居をしているような・・・大きな怒鳴り声を出す母の険しい顔や
かと思うと急に 子供のように泣きじゃくってみせる母の表情・・
を・・みていて
心の中が・・・ざわざわする
母は・・・いま・・どこにいるのだ
いつの頃の・・・何の・・話を・・しているの？
そこに居る母は・・怒っているの・・哀しいの・・？
気にしない気にしないと・・
理解などしようとしないで 曖昧に笑って聞き流そうとするのだけど
・・そんな母を長くは見ていれない
笑おうとしている自分の口元が・・歪んでいくのがわかる
何故・・・こんな母を見ているのが・・こんなに耐えられないのだろう
とても疲れる
恐怖すら感じる
世の中には 私ごとき頭では理解できない事が一杯ある
それでも・・なんとか理解しようとしたり・・受け入れようとする
でも・・母の話は・・得体が知れず・・・
私まで・・なにかに引きずり込まれそうになる
脳というのは困ったものだ
予測のつくこと・・ぼんやりとでも理解できる事・・そのことだけを受け入れようとする
だから・・・母の話を聞くのは・・脳が拒否するのだろうか
一生懸命言い聞かせるのだよ・・じぶんに
今さすっている温度のある母の手も・・
わけが分からなくて・・聞くのが苦しい母のしゃべりも・・・
いつか・・・そう遠くないいつか・・・
きっと・・さわったり・・聞いたり出来なくなる
だから・・今・・・・・・聞くことが出来ているのは幸せだ・・・
・・なんてね
でも・・30分ぐらいかなあ・・限界が来て
こちらから・・話を切り出す
今度来るときは・・何を持ってきたらいい？
生クリームいっぱいのケーキかなあ
イチゴ乗ったやつ・・
母の表情がこころなしか緩んだ
｢今度・・絶対持ってくるね・・約束しよう｣
救われたような想いで・・調子に乗って
何十年ぶりかに
母と指を絡ませて・・ゆびきりをする
ゆびきり・・かんきり・・嘘ついたら・・針、千本のま～す
５８歳と９０歳の親子のゆびきり
いくつになっても・・・どんなになっても・・・
もしかしたら・・次が・・ないかもしれなくても
おかあちゃん、約束しよう・・・ね
ねえねえ・・次くるときは・・何が食べたい？・・・・
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