さて、工房にはいくつかの相談ごとがあり伺ったのだが、
そのうちの一つがこれ。

「派手になってしまった着尺をどうするか」
着物を着始めてそう月日が経っていないころ、
ネットでお安く譲ってもらった小紋。
いつか仕立てよう、仕立てようと思いながら、
忘れたり、思い出したり、面倒になったり、迷ったり・・・で、
5年も寝かせてしまった。
オレンジ、黄、水色、そして白。
クリアな色がうねうねと
マーブルの雲みたいに見えるこの着尺。
30代なら長着でもいいけれど、もう40代半ばになってしまった今、
果たしてどうなのか。
古いけれど、“きちんとした”染めですよ、と山本秀司さん。
花火のような白い線は、あらかじめ糊で伏せていて、
花びらのような白は、後から描いたものだそう。
「長襦袢はどうでしょう」
「うーん、長襦袢にするには、生地がしっかりしすぎかな」
「羽織は?」
「いいと思いますよ。でも一度羽織に仕立てると、長着には仕立て直しできませんが」
色を全部抜いて、好みの色に染め直すこともできるそう。
「でも、それをするなら、わざわざこの着尺でなくても・・・」
白生地から創ればいいのだし。
そもそも、入手の経緯からわかるように、
「色」に惹かれたこの小紋。
それをがらっと変えてしまうのは忍びない。
「例えば薄いグレーを上からかけて、落ち着かせて、長着にするという方法もありますよ」
そうしてみようかな。
・・・と考えながら、姿見に向かって巻いてみたら
(一同)「・・・このままでも、いいんじゃない?」
机に置いた状態では、僕も、うーん少し(派手かな)と思ったのですが、
あててみたら、いいですよ、まだまだいけますよ。
長さは十分にあるということなので、
一応、端の方だけグレーを試しにかけてみて、
もう一度検討することにした。
何とかして、5年もの眠りから目覚めさせなくては。
※入手時の記事はコチラ。
当時ご意見くださった方、今回アドバイスくださった方、ありがとうございました。
必ず形にしますので!