あああああ- ぐ っ た り。
フリーランスである以上、経緯はどうであれ
仕事はすべて自分の意思で選んでいる、という意識なので、
不平・不満をぐちぐち言うのは潔しとしないし、
実際、ストレスはほとんど引きずらないが、
今回はかなり精神的なタフさ、忍耐強さが求められた。
-まだピリピリ感が残っている頭には、お能がいいかも-
年明けに、金春(こんぱる)流のシテ方、山井綱雄さんから
定例会のご案内をいただいていたのを思い出して。
生まれて初めて、国立能楽堂に足を踏み入れた。
お能には、コンサバティブな着物がいいらしい。
以前着物友達が教えてくれた。
そこで…
選んだのは、染の北川の小紋に、きぬたやの絞り帯。
帯はずいぶん昔に一度だけ締めたのだが、
合う着物がなかなかなくて、お蔵入りになっていた。
会場は歌舞伎座と同じくらい着物率高し。
派手すぎ、粋すぎ、カジュアルすぎな装いは見られなかったが、
みな柔らか物かというとそうでもなく
織のお着物姿もたくさん。
しっとりと目に優しいナチュラルカラーのお着物が
多かったかなあ。
受付でいただいたプログラムには、200字程度のあらすじが書いてあった。
それを頼りに一演目約90分、舞台に見入る。
例えば「(略)童子が忽然とあらわれ、中国と日本の剣の徳を語る(略)」(小鍛冶より)
の一行で、20~30分地謡と舞が繰り広げられる。
悠然と流れる時。定型の美。
基礎知識がほとんどないので、理解するというよりは、
独特の世界に浸り溶け込むようなつもりで、五感をゆだねてみる。
そうすればいっとき現実を忘れ、心がしんと、鎮まっていくのがわかるのだ。
山井綱雄さんが演じたのは「楊貴妃」。
「唐の玄宗皇帝の命令で、ある方士(道教の呪術師)が
亡くなった楊貴妃の霊魂を探し求める。
ついに出会えたとき楊貴妃が、形見の玉のかんざしを与え、
舞を舞う。」
…というように、話は展開していくのだが、
最後の最後、
「方士は都に帰り、楊貴妃はとどまる」のところで、
舞台正面と、橋がかり(舞台からのびている通路のことで、
現世とあの世の通い道という意味も)とに離れた二人が、
別れを心底惜しむように振り返り、一瞬見つめ合う様子を観て、
うわっと涙が出そうになった。
時間にしてたった1~2分、ことばもない。
楊貴妃の「本当は都へ行きたい、皇帝に会いたい」という
切ない気持ちが、痛いほど伝わってきたのだ。
客のすすり泣く声が、あちこちから聞こえた。
正直、初めてのお能でここまで感動するとは思っていなかったため(スミマセン)
とてもびっくりしたし、いい体験だった。
心を浄化したいときに、ときどき観るのはいいかも知れないな。
余談ですが…
このことを、日ごろ私にドイツ語を教えてくれる人に伝えたい、と思い、
「ええっと… 金春“座”」って何と言うのかな」と
ウィキペディアのドイツ語版を読んだら
「金春座=Kompal Schule(=School)」だって…。
School…学校…。確かにそうなんだろうけれど…。
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