
千葉の呉服店、衣舞の店主さん。
半年以上前から、予定を入れていました。

会場は、市川に100年前からある古民家「ギャラリー砂河原」。

(衣舞さんのHPより)
全国各地から集まった協賛の織元さんや問屋さんが
所狭しと自慢のお品を広げ、
離れには雛段飾りも。
好天に恵まれ、お客さんもたくさんで
短い時間でしたが賑やかで楽しいひとときを過ごしました。

店主の衣舞の袖さん(中央)と、
ご一緒した着物友、キモトモTさんとスリーショット。
この後、右端に写っている一脇さんで、草履を挿げていただきました。
これについては後日改めて、紹介しますね。
(浦野理一さんの布でつくった鼻緒を挿げたのです

さて、Tさんは糸の良さで知る人ぞ知る織元さんの、
小さな十字がすりの結城紬。
一方、私は……

とても久しぶりに、梨地のピンクの軽い附下を選びました。
桃の節句だったので、どうしてもピンクが着たくて

帯は当初

左の、洛風林の袋帯はどうかな、と思ったのですが、
あれこれ箪笥を見ているうちに
右の、ブランド物ではないけれどとてもしなやかで可愛い
箔織の更紗の袋帯を見つけ、

たぶん、シルバー系よりゴールド系の方が、ピンクになじみやすいと思うのです。
上半身と後ろはこんな感じ。

イベントでは、プロのカメラマンがお雛様の前で
写真を撮るサービスも

手元に写真がきたら、こちらも機会を見てアップしますね。
この装いで、古民家を出た後向かったのは

国立劇場小劇場での、雅楽と舞楽の公演「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」。
宮内庁式部職楽部の出演です。
こちらでご一緒したのは

少し前、銀座もとじのパーティでもお会いしたTKさん。
香りたつような甘い紅色の紬は山岸幸一さんの作品。
白地に抽象的なボタニカル文様の帯は、職楽浅野さん。
トーンは違えど、同じピンク系。ピンクシスターズです

ちなみに上の写真、通りすがりのご婦人にシャッターをお願いしたのですが、
同行の方々が「あらー春らしくていいわね」とにっこり、声をかけてくださったので
私もにっこり。笑い過ぎました……。
今回のプログラムは
東遊一具(あずまあそびいちぐ)
五節舞(ごせちのまい)
そして久米舞。
いずれも奈良・平安時代からある歌舞で、
例えば東遊一具は春分・秋分の日に行われる皇霊祭で演じられるなど、
宮中祭祀と深く結びついています。
特に五節舞は、雅楽で唯一の女性の舞で
幾重もの「襲」が目を引く、天女に扮した5人の女性の美しさが際立ちました。
いずれも武士台頭の時代に断絶してしまうのですが、
江戸時代に復興されて現在に至っているそう。
もっとも印象的だったのは「歌」で、
(こう言ってはムードがないですが)
普通にしゃべれば1分足らずですむ歌詞が、ゆっくり、優雅な節回しで
そして古い日本語で、数十分かけて歌われます。
ちょうど少し前に、取材先の医師から
「話し言葉になると、日本語は外国語に比べ、一定時間内に伝えられる
情報量が圧倒的に少ない。
(一方、書き言葉は漢字の強みで、一定の文字量で伝えられる情報量は
だんぜん、日本語は多いですよね)
そのことはビジネスでも学業でも不利である」という話をきいていましたが、
豊かで、馥郁な節回しを体全体で聴いていると、とても気持ちよくて
こんなゆったりした日本独自の文化は、遺しておくべきだよね、と
公演後、TKさんと話したりしました。
舞楽の魅力は、文章だけではなかなか、馴染みのない人には伝わりにくいと思います。
ご興味ある方は、画像検索等で(五節舞など)みやびな世界をのぞいてみてくださいね。