80歳前後と思われる、杖をついたお婆ちゃん。

チビワンのことを
「ゆきちゃん💛」と呼び
とても可愛がってくれます。
以前、ホントの名前を伝えたはずなのだけど、
優しい目をしたこのお婆ちゃんの中では、ゆきちゃん。
まあ、わざわざ正すことでもないかな、と思って、
話を合わせています。
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これから話す出来事は、もう5年以上前のこと。時効かなと思って……。
(若干、設定などを変えています)
書籍の案件で中部の大都市へ。
お会いしたのはその地域では有名な、美容機器会社の社長。
サロンも開いていて、人を集め講演やスキンケア指導も精力的に
行っている、“やり手”の女性。
自分一代で財をなし超高級マンションに住み
海外視察へ頻繁に出かけ(当時のことです)、
一等地にオフィスを構え……きっとさまざまな物事と
“戦って”きたのでしょう。
勝ち負けや損得の意識が強く、ちょっと傲慢なところが
気にはなっていました。
サロンで少額の買い物しかしないお客さんのことを
バックヤードで「雑魚」呼ばわりしてしまう。
こう書いたら何となく、お人柄が伝わるかと思います。
さて、その人と初対面の夜、会食し、
私は洋服だったのですが、着物好きなことは知っていて、
「どんなブランドがいいの?」とお尋ねになるので
「ブランドというより、作家さんにお誂えをお願いするのが好きで」というような
返事をしたと記憶しています。
そしたらその女性社長
「私はね、昔からちぼうが好きで」
ちぼう……? 私があいまいなほほえみの中に
きょとんとした表情を浮かべたのを見てとったか、
こんな有名ブランドも知らないの?と言わんばかりに
ちぼうよ、ちぼう。うん、
ちぼうは昔からとてもすてきね
……。
(ここまで書いてきて、もし「ちぼう」という商標、お店が実在していたら
私の不勉強なのですみません。)
当時の私は、「もしかしたらこのへんに、そういうブランドの呉服があるのかな」と
思い直し、
そうなんですね、西の方は華やかな着物が多くていいですね。などと
当たり障りなく返したような記憶があります。
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と、関西出身の着物友。

はっきり言うものだから、そういうとこ(呉服屋)あったっけ、って」
きっとその女性社長は千總のことを指していたのだと思います。

2年前、リッツカールトンのパーティで着た
大きな菊柄の小紋。

こちらは千總のカジュアルブランドstudio0001のもの。
(今はもうないかも)
ただ……親しい人でも間違いを指摘するのに多少は気遣いが要るというのに、
こういう、正直言って顔色を窺う必要がある、立場が上の人に
私は例えその場で間違いを確信したとしても、指摘できないなあ……。
みなさんだったら、どうしますか?
結局、この女性社長とは相性が合わなくて、
中途半端に関わったのち、フェイドアウトしてしまいました。