マンガに未来はあるの?!

マンガを愛読して40年以上。20代にマンガ家アシスタントを3年、それ以降は編集にからむ仕事を。マンガにまつわる独り言を。

漫画の発表舞台が雑誌から投稿サイトに。ますます出版社も漫画作家も、漫画雑誌では食えなくなる?

2017-05-22 12:16:23 | 日記
 漫画の発表舞台がウェブ投稿サイトに変わっている。アマチュアクリエータを中心に利用され、サイトでは多くの作品を目にすることができる。サイトによっては、マンガ専門であったり、イラスト・小説・写真投稿サイトの一部としてマンガ投稿機能が実装されていたりするものもある。
 投稿サイトの世界では、プロ作家も家庭の主婦、学生も混然一体となって作品が発表されていて、区別がない。雑誌に発表された作品も、いたずら書きのような作品も同列で掲載されており、逆にいたずら書きの作品のほうが面白かったり、人気があったりする。作品はほとんど無料で見ることができる。
 これでは、漫画雑誌が売れないわけだ。時間つぶしで漫画を見るのであれば、投稿サイトで十分。人気作品は、雑誌ではなく単行本を買って読めばいい。ストーリー展開・進展が遅い今の漫画は、雑誌では魅力がなく、単行本向きだ。漫画雑誌は、出版社にとって、単行本にするための作品確保、作家確保のための媒体になっている。そんな雑誌を、毎回、数百円も出して購入するのは…読者もバカじゃないから…定期購読はしなくなる。ますます漫画雑誌は売れなくなる。
 ウエブ投稿サイトは、サイト運営会社では「新人漫画家の商業デビューを目指す新たな道」などと位置付けているところもあるらしいが、本当かね? だって、投稿サイトが人気になればなるほど雑誌は売れなくなる。新人漫画家がデビューしたくても、雑誌という発表舞台が売れ行き不振で廃刊したら、どうデビューするの? 新人漫画家は、アルバイトしながら単行本にするための200ページ前後の作品を何年もかけて描き、出版社に「単行本にしてください」と持ち込みに行くのだろうか?
 漫画雑誌は、新人漫画家が原稿料をもらい生活費を確保し、もっといい作品づくりをめざすための、食い扶持を稼ぐための媒体でもある。それがなくなりつつある。これからの新人漫画家は、どうやって食い扶持を稼ぐのだろう。