東芝が、2016年3月期の連結業績見通し下方修正を発表したという記事。最終赤字が7100億円になる見込みとのことです。
どの部門というのではなく、全般的に不振のようです。
「インフラ部門では送変電システムなどで費用・損失を追加計上し、部門赤字が550億円拡大する。フラッシュメモリー以外の半導体で在庫評価損が出る電子デバイスやパソコンなどの家電部門でも部門赤字が従来の見込みより増える。
全体のリストラ費用は昨年12月時点から180億円増えて2480億円になる。収益力の低下を踏まえて資産評価を切り下げる減損などは1180億円。これらをあわせた幅広い意味での損失は今期だけで3600億円を超す。」
自己資本は債務超過寸前まで悪化します。
「赤字で今期末の自己資本は1500億円(前期は約1兆800億円)まで減る見通しだ。財務の健全性を示す自己資本比率は前期末の17.1%から2.6%へと急低下する。」
ウエスチングハウスの減損については...
「収益低下の懸念が指摘される米原子力事業子会社のウエスチングハウスは、今回は減損損失を見込まない。複数の監査法人が資産を精査し、減損の必要なしと判断した。」
現監査人は「複数」に入っているのでしょうが、次期監査人にもみてもらわないと、いきなり過年度訂正ということになりかねません。
業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)
追加で繰延税金資産の取崩を600億円見込んでいるそうです。
2015年度 第3四半期決算(連結)
第3四半期累計では、4,794億円の赤字(当社株主帰属純利益)です。
(東芝決算説明会資料より)
税効果の影響で、赤字が大きくなっています。
また、営業外損益のプラスは有価証券売却益(約1,800億円)によるものです。これがなければ、さらに悲惨な決算になっていました(今となっては焼け石に水ですが)。
東芝、過去最大7100億円赤字 財務に灯る黄信号(日経ビジネス)
「室町社長は資金繰りについて「金融機関とトップ折衝をしている」とする一方で、金融機関からは「今期中に膿を出し切りなさい」と促されていることを明かした。」
「ただし、これで悪材料出尽くしとはいかない。米原子力子会社のウエスチングハウス(WH)ののれん減損など、潜在的なリスクがくすぶり続けるからだ。
東芝は昨年10月1日を基準日として、今期の減損テストを実施。「公正価値が帳簿価額を上回っているので減損の兆候はないと判断した」(平田CFO)と説明した。だが、室町社長は「2016年1~3月期での環境変化が大きい場合は減損テストをもう一度する可能性もある」と述べた。」
東芝 不正会計 底なしの闇 今沢 真 毎日新聞出版 2016-01-30 by G-Tools |
(↑内容的にはやや物足りない感じです。コンパクトにまとまってはいます。分量は新書本程度)
宣伝文より。
「暴かれる「名門」の正体。「チャレンジ」という魔の言葉で始まった驚くべき紛飾。歴代トップと監査法人の責任は?隠蔽された米原発子会社「減損」の意味は…。地獄はまだ続く!」