朝日襲撃「赤報隊」の新事実 リクルートから新右翼のドンに資金提供1億円
「赤報隊」を名乗る集団が1987年5月に起こした朝日新聞阪神支局襲撃事件(116号事件というそうです)に関連して、リクルートが多額の金銭を右翼の大物に支払っていたという疑惑に関する記事。
直接支払うのではなく、ある不動産会社を経由して、支払ったそうです。また、支払ったのは襲撃事件からだいぶたってからであり、事件と直接関係のあるカネではなさそうです。支払ったとされる相手が、本当に事件と関係していたのかどうかも、この記事の範囲では、あいまいです。
当時の状況。
「116号事件は、1987年1月24日、朝日新聞東京本社に散弾銃が撃ち込まれた事件から始まった。実はほとんど報じられていないが、同日、リクルートの江副浩正元会長宅でも発煙筒による放火事件が発生している。また6日前の1月18日には、江副元会長宅前の電柱に、〈悪徳不動産屋、リクルートコスモスの親分、江副浩正を粉断する〉と書かれた糾弾ビラ60枚が巻かれていた。」
「リクルート元幹部が証言する。
「87年1月の発煙筒事件が朝日新聞東京本社銃撃事件と同じ日に起こっていたということはずいぶん後になって知りました。翌88年8月、赤報隊に江副宅が狙われたので、二つの事件には右翼関係者が何らか関与しているのだろうと思い、得体の知れない恐怖を感じました」
この二つの事件後、野村氏(「“新右翼のドン”こと野村秋介氏」)はリクルートにある「要請」をしている。リクルート元幹部の証言を続ける。
「90年頃、野村氏から、サム・エンタープライズ(不動産会社)へ資金提供をしてくれないかと、しきりに頼まれるようになった。リクルートが盛田さん(「サム・エンタープライズ」元社長)へ金を出せば、野村さんと財布は同じという構造だと説明された」」
この交渉の最中に名古屋で起きた放火事件に「赤報隊」が犯行声明を出します(「捜査では116号事件と同一の犯行とされている」)。
「リクルート元幹部の記録によれば、野村氏に1億円を支払うことが決定したのは、90年12月。愛知韓国人会館放火事件から7カ月後のことだ。
リクルートは計1億円を2回に分け、翌年にサム・エンタープライズの銀行口座へ振り込む。91年に同社が主催した三浦半島でのヨットレース賛助金という名目だった。」
「1億円を受け取った当事者である盛田氏は、次のように語る。
「リクルートは『また事件が起これば、右翼対策費として出せるかもしれない』という話になり、野村さんは、『わかった』とうなずいた。リクルートがわが社へ1億円も提供するメリットは当時なかったので野村さんへの対策費だと私は認識していた。
金は私が一旦、預かったが、いろんな諸経費などを差し引き、6000万円以上は野村さんに返却した。野村さんがそのカネを誰にどう分配したのかは詳しく聞いてないのでわからない」」
リクルート側はわからないとコメントしているそうです。
詳しいことは「文藝春秋」2023年6月号の特集記事に書いてあるそうです。