「有害な従業員(toxic workers)」という論文を紹介した記事。
「共同執筆者の2人、HBS客員助教ディラン・マイナーと、コーナーストーンオンデマンド(人材の採用・育成・管理をサポートする企業)の最高アナリティクス責任者マイケル・ハウスマンによれば、「有害な従業員」とは、有能で生産性は高いが、組織に害を及ぼす行為に関与する人たちを指す。両執筆者は、高いスキルを持つ従業員が組織に実質的な損害をもたらしたケースに着目した。セクシャルハラスメント、職場での暴力、不正行為など、職務規定の重大な違反で解雇された従業員だ。そして、このような人々を雇わないようにするほうが、スーパースターを探し出して社内に留めるよりも経済的に有益であることを示した...。」
「研究では、有害な行為の予測因子となる特定の性格と行動特性も明らかにしている。
自信過剰、自己中心的、生産性が高い、(自己申告による)規則遵守の意志、という特性を示した従業員は、有害人材となる可能性がより高いことがわかった。スキルに対する自信が1標準偏差増えると、有害な行為で解雇される可能性は約15%高くなった。より利己的で他者のニーズにあまり関心を払わない従業員は、その可能性が22%高かった。「規則には“常に”従わなければならない」と回答した従業員は、現実には規則違反で解雇される可能性が25%高かった。また、チーム内に別の有害な従業員がいた人は、同様に不祥事で解雇される可能性が46%高かった。
自信過剰とナルシシズムが仕事の成果にマイナスとなることは、以前の諸研究でも示されていた。今回大きな驚きであったのは、「規則には“常に”従うべき」と信じていた人が、「目的達成のためには規則を破ることがやむを得ない場合もある」と回答した人に比べ、有害な行為に走る可能性がいっそう高かったことである。
マイナーとハウスマンはこの理由として、求職者は採用担当者が聞きたがることを語ろうとするからであろう、との仮説を立てている。...」
「他の研究によれば、「邪悪」な性格(サイコパシー、ナルシシズム、マキャベリズム)の持ち主は、そのパフォーマンスとは関係なく仕事で成功することが少なくない。カリスマ性、好奇心、高い自己肯定感といった、他の有益な特性を持っているからだ。しかし彼らは、長期的には組織の助けにならない可能性が高い。」
「マイナーは私に、メールでこう答えてくれた。「人々は往々にして、人材の採用と評価に際し1つか2つの側面しか考えていません。高い生産性で売上げに寄与し、顧客サービスにも優れているような人を求めます。しかし、3つ目の側面があるのです。それは、“組織市民性”(corporate citizenship:組織に対し自発的に、無償で貢献する姿勢)です。この姿勢が著しく欠けているようであれば、よい採用とはなりえません。生産性はあまり高くなくても、組織市民性に優れている人を採用したほうが、組織全体の生産性はより高まるものと思われます」」
「有害人材」とまではいかなくても、意味もなくやたらと波風を立てて、周りを疲弊させる人はいるように思われます。
この論文です(英文)。
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Toxic Workers(PDFファイル)
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