ベネッセホールディングスが、第1四半期(4~6月)において、顧客情報大量流出事件関連で、260億円の損失を計上したという記事。
「260億円の内訳は、金銭的な補償に計200億円、おわび文書の発送や情報流出の調査、情報管理態勢の強化などに計60億円、という。」
「さらに今後、情報の流出件数がふくらむ可能性があるため、損失が増えるおそれもある。」
事件の発覚は7月ですが、情報流出が発生したのは四半期決算日以前なので、顧客に対する損害賠償債務はすでに生じており、その分について損失計上するのは理解できます。しかし、「情報管理態勢の強化」は事件が発覚した7月以降に実施しているはずであり、6月末時点の債務とはいえないのではないでしょうか。予算を事前に取っておくのは自由ですが、費用計上するのは、実際にそのための財・サービスを購入したとき(資本的支出であれば償却したとき)になると思われます。
引当金に関するルールが明確でないので考え方により処理がばらつくのはやむを得ませんが、費用・損失の計上が早ければよいというものでもないでしょう。
また、今回の情報流出と直接関係のない、今後の態勢整備のための費用は、特別損失ではなく営業費用でしょう。
同社決算短信(PDFファイル)
情報セキュリティ対策費という科目で、どさっと丸まった金額が計上されています。260億円という数字が先にありきという感じです。
損益計算書の注記より
「情報セキュリティ対策費
連結子会社㈱ベネッセコーポレーションのお客様情報が漏えいしたことに伴い、お客様へのお詫び、お客様へのお詫び文書の発送費用及びお客様からのお問い合わせ対応費用、並びに個人情報漏えいに対する調査・情報セキュリティ対策等に係る費用26,000百万円(情報セキュリティ対策引当金繰入額24,894百万円、ダイレクトメール廃棄損等1,105百万円)を計上しております。なお、これらの費用については、新たな事実の判明や追加対応の発生等により今後変動する可能性があるものの、合理的な見積りを行っております。(以下省略)」
ベネッセ、垣間見えた顧客流出の代償(東洋経済)
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