日本公認会計士協会は、「修正国際基準(案)」について企業会計基準委員会に提出した意見を協会サイト上で公表しました。
修正国際基準を制定すること自体については、賛同はしているものの、「究極的には、「修正国際基準」の作成に至ることなく、基準の削除又は修正は行われないものとすることが望ましいと考える」というように、積極的な賛成意見ではないようです。
また、修正国際基準案では、のれんの会計処理とその他の包括利益の会計処理がIFRSからの修正点とされていますが、それらについて、懐疑的な意見を述べています。
「J-58A 項(b) では、のれんの償却を耐用年数にわたり定額法その他の合理的な方法により規則的に償却するものとし、その耐用年数をその効果の及ぶ期間によるが20年を超えてはならないものとしている。 他方、のれんの償却年数の決定は国際的にも判断が難しい領域とされており、のれんの減損の代替処理として償却を認めている米国の私企業の会計規定及び IFRS for SMEs においては10 年を上限とする定めがある。 これを20 年とする提案は、旧 IAS 第22 号や我が国会計基準の定めと同様にしたものと理解しているが、国際的な議論の動向や本公開草案に寄せられるコメントを十分踏まえて検討を行うこと。」
(「私企業」とは「非公開(非上場)企業」のことでしょうか。)
「実務の観点からは、 IFRS でノンリサイクリングとされている項目の純利益への修正及び組替は、財務諸表作成者に対しては複雑な調整計算を要求し、 また、財務諸表利用者の観点からはピュアなIFRSの下で報告される純利益とどのように異なるかが不明瞭となることが想定される。 」
「J-5.7. 6C 項において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の減損については、 IAS 第39 号に基づいて減損の客観的証拠の検討を行うとし、取得原価と比した公正価値の著しい下落又は長期にわたる下落も含まれるものとしている。しかし、IAS第39号の当該減損規定は曖昧であり、過去の金融危機の局面等においても実務上判断の多様性が生じることが指摘されていた部分であり、本修正が実効性のある修正規定であるか疑問がある。また、2014年7月24日のIFRS第9号の完全版の公表により IAS第39号は廃止されることもあり、本論点については、基準の最終化までの間により慎重な検討が必要である。」
(確定給付負債又は資産に係る再測定額の純損益への組替調整について)「純損益への組替調整を平均残存勤務期間で按分した額を毎期振り替えることとする J-122A 項の修正の内容は、理論的に堅牢な根拠があるものではない。同様に、J-122A 項の後段にある、再測定の発生額について、 翌期から純損益に組替調整額として振り替える方法についても理論的に堅牢な根拠はない。」
このほか、「我が国会計基準の改善の取組みの再開」という表題で以下のような意見を述べています。
「IFRSのエンドースメント手続と並行して、我が国会計基準の改善を継続的に進めることを期待する。」
たしかに、企業結合・連結という大きなテーマが終わって以降、これといった基準策定・改正作業はなされていないように思われます。もう大きな改善の余地がないところまできているということでしょうか。
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