会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項と有価証券報告書レビューの実施について(金融庁)

有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成25年3月期版)と有価証券報告書レビューの実施について

金融庁は、有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項(平成25年3月期版)を、2013年3月29日に公表しました。あわせて、有価証券報告書レビュー(平成25年3月期以降)の実施項目等についても明らかにしています。

留意事項については、以下の3つに分けて示しています。

(1)新たに適用となる開示制度・会計基準等

(2)最近の課徴金事案及び自主訂正事案を踏まえた留意事項

(3)有価証券報告書レビュー(平成24年3月期以降)を踏まえた留意事項

(1)では、2013年(平成25年)3月期から新たに適用となる開示制度・会計基準等は特段ないとしていますが、2013年(平成25年)4月1日以後開始する事業年度から「退職給付に関する会計基準」を適用する会社に対し、「未適用の会計基準等に関する注記」について注意喚起しています。

(2)では、以下の項目を挙げています。

・売上及び売上原価に関連する会計処理
(具体的には、実態のないコンサルティング契約に基づいて売上を計上して黒字化した事例や、取引先からのリベート(仕入値引)を過大計上することにより売上原価を圧縮して業績を良く見せかけた事例等)

・貸倒引当金等の引当金の計上
(具体的には、代表者の関係者に対する貸付金等で、債権管理が適切に行われていなかったために貸倒引当金の計上漏れが起きた事例や、取引先に対して不必要な支払を行い、本来貸倒引当金の計上が必要な債権として認識すべきであったものを、債権以外の資産として計上することで貸倒引当金を計上しなかった事例等)

・連結子会社等における会計処理
(海外子会社において不適切な会計処理の事例が発生しているのが最近の特徴。具体的には、赤字計上回避のために棚卸資産の過大計上を行った事例や、回収不能な売上債権を回収可能と見せかけるために売上請求を一旦取り消し、新たに架空売上を計上して支払期限を延長する会計処理を繰り返した事例等)

(3)では、固定資産の減損損失企業結合等関係の注記関連当事者との取引が挙げられています。

有価証券報告書レビュー(平成25年3月期以降)のうち、法令改正関係審査では、「役員の状況」及び「コーポレート・ガバナンスの状況」における社外取締役及び社外監査役に関する記載内容の改正が実施対象として挙げられています。

また、重点テーマ審査のテーマとしては以下のものが挙げられています。

・企業結合及び事業分離等
・固定資産の減損
・連結財務諸表作成手続(子会社管理を含む)
・金融商品に関する会計処理・開示
・偶発債務(引当金の計上を含む)

新たな会計基準や開示が特にないとはいっても、まったくないわけではないので、以下のような大手監査法人のサイトなども利用して、再度のチェックは必要です。

平成25年3月期 決算特集!(新日本監査法人)

平成25年3月期決算の留意事項(あずさ監査法人)

「平成25年3月期は適用がありませんが、未適用の会計基準等の注記との関係から、平成24年5月公表の「退職給付に関する会計基準」も取りあげています。」

平成25年3月決算の会計処理に関する留意事項(トーマツ)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事