会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

四半期決算の任意化検討 適時開示を充実―金融庁案(時事より)

四半期決算の任意化検討 適時開示を充実―金融庁案

25日に開催された金融審議会の作業部会(ディスクロージャーワーキンググループのことでしょう)で、四半期決算短信を将来的に任意化することを検討するとの案が示されたという記事。(ワーキンググループの会議資料についてはこちら→当サイトの関連記事

「金融庁案によると、まず第1、第3四半期の開示について報告書を決算短信に一本化。当面は短信の四半期開示を一律で義務付け、将来的には「適時開示の充実の状況を見ながら、任意化のタイミングについて継続的に検討」する。期末の決算短信を除き、適時開示に重点を置く方針だ。」

適時開示は何かイベントがあったときに速やかに開示するものであり、決算短信のように、特に何もなくても決算期(年度や四半期)ごとに開示するものとは性質が異なります。適時開示が充実すれば、短信は任意でよいというのは、理屈が通らないように思われます。

日経は、社説で、四半期短信任意化への反対を主張しています。

[社説]四半期開示の任意化には断固反対する(日経)

「四半期決算開示は、投資家が企業の経営状況を把握するために欠かせない資本市場のインフラだ。開示義務をなくせば、企業の情報開示が後退しかねない。四半期開示の任意化には断固反対する。」

「解せないのは、一本化後の決算短信の開示義務を将来的になくす構想が急に浮上していることだ。金融庁は25日の作業部会で「任意化のタイミングについて継続的に検討する」案を提示した。

金融庁は、四半期開示を、業績修正やM&A(合併・買収)など重要事象が発生したら即時に開示する取引所の「適時開示制度」に集約する将来像を描く。だが両者は情報の性質も投資家の利用法も異なる。両者を併存させ、それぞれの中身を拡充するのが筋だ。」

「機関投資家が投資対象とするのは、約3800社の上場企業のうち数百社にすぎない。任意にすれば機関投資家からの求めがない大半の企業が四半期開示をやめてしまい、日本株市場のさらなる空洞化につながらないか危惧する。」

「岸田首相は、四半期開示の任意化が、家計資産の「貯蓄から投資へ」の政策に逆行すると認識すべきだ。」

なお、会議資料によれば、四半期決算短信を任意化しても、第2四半期については、金商法による開示が半期報告書(ただし監査人による保証は中間監査ではなくレビュー)として開示が行われることになっています。したがって、任意になるとしても、第1・第3四半期だけです。

金融庁、四半期開示の任意化を提案 適時開示拡充が条件(日経)(記事冒頭のみ)

「金融庁は25日、上場企業が3カ月ごとに提出する「四半期決算短信」について、将来的に提出を任意とする案を提示した。代わりに、投資判断に影響のある情報をいち早く開示する「適時開示」を充実させる。」

金融庁 四半期決算短信の開示「任意化」を検討(FNN)

「上場企業が3カ月ごとに証券取引所に提出し、取引所の規則に基づき開示する業績などを示す四半期決算短信について、金融庁は、開示の有無を企業の判断に任せるようにする検討を始めた。」

金融庁、決算短信の任意化議論 開示後退に異論も(産経)

「企業は負担が減るが、投資家から情報開示が後退すると異論もあり、実現するかどうかは不透明だ。

経済界から決算短信の策定の見直しを求める声が出ていた。英国やフランスは四半期の業績開示は義務ではなく、企業に任せている。」

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