会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

武田、税務費用630億円を引当金計上 シャイアー関連(日経より)

武田、税務費用630億円を引当金計上 シャイアー関連(記事前半のみ)

武田薬品工業が、発表済みの四半期決算を訂正するという記事。

「武田薬品工業は2日、2019年に買収したアイルランド製薬大手シャイアー関連で、税務費用630億円を引当金として計上すると発表した。シャイアーが米アッヴィから受け取った違約金への課税分やその未払い利息で、7月30日に発表した21年4~6月期の連結財務諸表を修正し、6日までに東京証券取引所へ提出する。」

会社のプレスリリース。

Shire社がAbbVie社から受領した違約金に係る税務評価に関するアイルランド税務不服審査委員会による裁定について(武田薬品工業)

「当社は、2021年7月30日(アイルランド現地時間)、Shire plc(以下「Shire社」)が2014年10月にAbbVie Inc.(以下「AbbVie社」)から受領した違約金の取り扱いについて、アイルランド税務不服審査委員会からアイルランド歳入庁の見解を支持する裁定を受けたことをお知らせします。Shire社は2019年1月に当社によって買収されています。当社は、本裁定について、アイルランド裁判所への控訴を含め、可能なあらゆる法的手段を以って異議を申し立てていきます。

Shire社は、2018年11月28日、アイルランド歳入庁から398百万ユーロの課税に関する通知を受領しました。本通知は、2014年にShire社がAbbVie社からの買収の申し出の取下げに関する違約金として受領した1,635百万米ドルに対して課税を求めるものです。当社は、本件に関して異議申し立てを行い、2020年の年末にアイルランド税務不服審査委員会においてヒアリングが行われました。

当社は、本裁定の内容について精査を続けておりますが、2021年6月30日時点に存在していた事象に関連する後発事象として、2021年6月30日に終了した四半期(以下、「2021年度第1四半期」)の連結財務諸表において、本件に関する税務費用を引当計上する予定です。本引当は、2021年6月30日までの未払利息を含め、現時点で約630億円と見込んでいます。さらに、当社は、本引当の影響を反映した修正版の決算短信(「2022年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」)を、2021年8月6日までに東京証券取引所に提出する予定です。また、その他の2021年度第1四半期決算資料についても同様に本引当の影響を反映して修正し、2021年8月6日までに当社ウェブサイトに掲載する予定です。」

修正後発事象ということで、4~6月の四半期決算数値に反映させるということになります(反映させていない決算短信(発表済み)は撤回)。

3月決算会社などの四半期決算作業が最終段階だと思われますが、後発事象のチェックもお忘れなく。

ところで、企業会計上利益となるものは、特別な定めがなければ、税務上も課税されるというのが、日本的な感覚です。アイルランドでは違うのだという、会社の判断は、そもそも妥当だったのでしょうか。

また、この違約金は、武田がシャイア-を買収する前のものです。買収金額を決めるときに、課税されないことを前提にしていたとすれば、それだけ割高の金額で買収したとになります(買収金額は約6兆円だそうですから、誤差の範囲なのかもしれませんが)。
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