日本内部統制研究学会の研究部会が行った「内部統制の重要な欠陥に係る実態調査」の調査結果の概要が報告されたという記事。いくつかの内部統制の不備例(TA MASTERという雑誌によれば全部で25件)を挙げて、それが「重要な欠陥」に該当するかをアンケートで調べたというものです(回答数126件)。
この記事の元になっている経営財務7月14日号の記事では6つの例示の回答結果が示されており、たしかに相当のばらつきがあるようです。ただ、事例が短すぎて条件が足りない例示もあると思われます(「どちらとも言えない」が正しい答え?)。
例えば、「サンプル中1件のミスが認められた」というのは、サンプル数を多くしてそれ以外にミスがなければ、不備なしと判断できる場合もあり(100%実施していなければ有効ということではない)、また、テストした統制が不備と判断されても、他の統制でカバーできれば、重要な欠陥ではないという結論になる場合もあるでしょう。しかし、その統制のテストで、サンプルを増やしたら、サンプル数に比例してミスが発見されたということになると、(補完になるような統制がなければ)「重要な欠陥」になるかもしれません(そもそもキーとなる統制しか評価していないわけですから、それが不備なら虚偽記載を防止発見できないはず)。
ただ、たしかに解釈が難しいものもあります。「取締役または経営者において、権限および職責の分掌が不十分である」というのは、全社的な内部統制の大きな不備であり、全社的統制重視の考え方からすると、それだけで「重要な欠陥」と判断するのかもしれませんが、全社的統制は財務報告にとって間接的にしか影響しないと考えれば、ケースバイケースで検討するしかないともいえます。
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