ASBJで繰延税金資産の回収可能性に関する指針の検討を行っていますが、4月7日の議事の動画等を見ると、従来の会計士協会の指針からの変更について、会計方針の変更にするか、見積りの変更にするかということで議論があるようです。
事務局では、「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当するものとして取り扱う」「適用初年度において、期首時点で会計方針の変更による累積的影響額を算定し、当該期首時点の利益剰余金等に加減する」(繰延税金資産を多く計上できるようになってもPL上は利益にならない)という案を考えています(会議資料より)。それに対して、作成者サイドから、かなり異論が出ています。
会計基準では、回収できる金額を計上するということを書いており、その回収可能性の見積り方法については、詳しくふれておらず、協会の指針が補完してきました。今回は、その協会指針を見直すということですから、見積りの変更かと思っていましたが、過年度遡及会計基準の会計上の見積りの変更の定義には合わないのだそうです。
減価償却方法の変更が見積り変更と同じ当期からの変更でよい(当期以降のPLに反映する)のと比べると、アンバランスのような気もしますが・・・。また、協会の指針ができたときの影響額はPL計上されていたということとの対応もあります(その時点では過年度遡及会計基準がなかったからという理屈付けはできますが)。
繰延税金資産を多く計上したい会社(評価制引当額を減らしたい会社)は、ASBJの新しい指針が適用される前に、何らかの理屈をつけて計上しておいた方が、損益上プラスとなりそうです(理屈がつけば、の話です)。
また、指針の変更による影響と、新しい情報に基づく見積りの変更による影響を、きちんと区別できるようにしておく必要もあるでしょう。(できるだけ新しい情報に基づく変更とした方がPLに反映できる?)
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