会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

公認会計士制度を考える(その5)(経営財務より)

週刊経営財務の4月26日号に、青山学院大学・町田教授による「公認会計士制度を考える」の第5回が掲載されています。

そこで取り上げられている4月13日の「公認会計士制度に関する懇談会」の模様はすでに別のメディアで伝えられていますので、ここでは町田教授の(するどい)コメントを拾うことにします。

2段階試験・資格制度について

「本当に、企業は、一段階目の資格保有者を採用するのだろうか。」

新卒中心の採用慣行からすると、期待薄ではないでしょうか。そうすると、就職浪人問題の解決策にはなりません。

「日本では、いわば会計実力認定を国家規模で実施するべく、新資格を創設することとなったといえるであろう。」

日商簿記検定のような立派な検定試験を民間で創設し運営してきた実績があるのに、官に頼らざるを得ないのでしょうか。

実務要件の緩和について

「少なくとも、会計士になって監査業務に就きたいと願う受験生に対しては、いくら企業での実務経験を認めて「就職」を促したとしても、何も解決になっていないように思われるのである。」

企業への就職が目的であれば、試験勉強などという面倒なことはしないで、就職活動を早くからやった方が有利かもしれません。

「懇談会のメンバーにあっては、監査業務について知識・経験のあるメンバーがほとんどいないことから、ある種の誤解が生じていると思われる。」

試験について

「懇談会では、再三にわたって、早い段階で合格する試験、社会人が受けやすい試験ということが強調されている。しかしながら、簡単に合格してしまう試験は、有意な若者にとってチャレンジする資格として魅力があるのだろうか。」

難しい資格だから価値があるとは思いませんが、会計、監査とも、会計士に要求される知識・経験はかなり拡大しているわけですから、むしろ試験を難しくすべきかもしれません。「ゆとり教育」の会計士版みたいなことでよいのかという疑問はもちます。

「試験は簡単だが就職は難しい」のと「試験は難しいが就職は比較的簡単」というののどちらを選択するのかという問題ですが、現状では「試験もそこそこ難しく、かつ、(会計士業界への)就職も難しい」という状況になりつつあります。

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第5回公認会計士制度に関する懇談会 議事次第(金融庁のサイトより)

たたき台的な資料が含まれています。
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