大王製紙の前会長の刑事裁判で有罪判決が出たという記事。
「大王製紙前会長による巨額の不正借り入れ事件で、会社法違反(特別背任)の罪に問われた井川意高(いかわもとたか)被告(48)に対し、東京地裁(堀田真哉裁判長)は10日、懲役4年(求刑懲役6年)の実刑とする判決を言い渡した。」
「井川前会長は、海外のカジノで負けを繰り返したため昨年3~9月、役員を務めていた連結子会社計7社から計55億3千万円を借りて損害を与えたとして、起訴された。」
返済したとはいえ、これだけの金額ですから当然でしょう。しかし、これが上場会社の子会社からの借り入れでなければ、これほど厳しい判決にはならなかったかもしれません。
当サイトでも何回かふれたように、これらの子会社は、支配力基準で大王製紙の子会社とされていた会社ですが、実質的には、大王製紙が支配していたというより、創業家が支配していた会社だったようです。そうなると、創業家とその非公開のファミリー企業の間でカネのやり取り(公私混同)があっただけということにもなり、これほど厳しい判決になったかどうかは疑問です。
もちろん、非上場のファミリー企業で大王製紙の持分は5割未満だとしても、上場企業の資本(最終的には一般投資家のカネ)がかなり入っている以上、子会社に該当するかどうかにかかわらず、完全にプライベートな会社と同列に扱うことはできず、公私混同的な不正な支出は認められません。しかし、上場会社やその子会社からの不正支出とは、だいぶ意味合いが違ってくると思われます。
懲役4年のうち2年分くらいは、現行の連結基準のおかげといえるかもしれません。
大王製紙:実刑判決の前会長保釈 保証金4億円 即日控訴(毎日)
大王製紙前会長に懲役4年の実刑判決 東京地裁(日経)
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