goo blog サービス終了のお知らせ 

会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

大正製薬の「7100億円で非上場化」にくすぶる不満 株価に「5割のプレミアム」でもPBRは1倍割れ(東洋経済より)

大正製薬の「7100億円で非上場化」にくすぶる不満 株価に「5割のプレミアム」でもPBRは1倍割れ

大正製薬のMBOに対して、TOB価格が低すぎるという批判の声が上がっているという記事。

以前から市場に対して独特のスタンスをとっていたそうです。

「象徴的だったのは、2022年に行われた東京証券取引所の市場再編時の対応だ。当時、東証1部に上場していた大正製薬は、プライム市場上場の条件を満たしていたにもかかわらず、あえてスタンダード市場を選んだ。」

「東証からの改善要請を受け、PBR1倍割れの企業の間では3月以降、増配や自己株取得などの対応策を検討する動きも増えている。

大正製薬は長年有利子負債がゼロ、2023年3月期末の自己資本比率は82.9%と、好財務体質だ。ところが同社は配当と自己株買いについて従来方針を維持。他社のように、株主還元を強化するような姿勢はみられなかった。」

こういうスタンスがいいとも悪いともいえませんが、「ピーク時から株価が6割も下落した今は、経営陣にとって“買い時”だった」という見方をすれば、あえて、株価低迷を放置していたと解釈できるのかもしれません。

ただし、記事によれば、「MBOが滞りなく成立するかは不透明」なのだそうです。

「というのも、MBO発表後に大正製薬の株価は急騰。足元では8700円前後と、TOB価格(8620円)を上回る水準で推移しているからだ。

さらに12月1日には、マネックスグループの投資助言会社、カタリスト投資顧問が今回のMBOについて「少数株主を軽視した判断である」との意見を表明した。同社が投資助言を行うマネックス・アクティビスト・マザーファンドは大正製薬の株式を以前から保有しており、今年7月末時点で同ファンドの純資産総額に対し5.26%を投資していた。」

「マネックスグループ会長の松本大氏は、「東証がPBR1倍割れ企業に改善を求め、もはやPBR1倍は達成すべき最低基準ということが社会通念となっている中で、少数株主に純資産価格以下でのエグジットを半ば強制するようなことは合理的とは考えていない」とコメント。」

「アクティビストが出てくる可能性」もあり、「先行きは波乱含み」とのことです。

そうはいっても、大正製薬は創業家の持株比率が高く、TOBが成立する可能性は高いそうです。他方、こちらの記事の会社は、結構あぶないようです。

「割安TOB」実施企業が村上ファンドに狙われた訳 アクティビストの襲来でTOB不成立の懸念も(東洋経済)

「株価は当初TOB価格近辺で推移していたが、11月16日に突如600円台へと急騰した。前日の15日、旧村上系ファンドの「シティインデックスイレブンス」による買い増しが明らかになったためだ。大量保有報告書によれば、シティはTOB開始直後の2日から株を買い進み、保有比率は15日時点で8.71%に達した。

アクティビスト(物言う株主)であるシティを呼び寄せた原因は、TOB価格の安さだ。1株564円は直近のPBR(株価純資産倍率)に換算すると0.54倍と、解散価値を大幅に下回る。」

会社側は、「簿価純資産額が、そのまま換価されるわけではない」と説明しているそうです(その反論自体は正しい)。

急増するMBO、日本株市場に吹く新たな追い風 2023年のMBO総額は過去最大の規模に(東洋経済)(ブルームバーグ配信)

「メディチ家流」MBOの時代、少数株主には悲劇(日経)(記事冒頭のみ)

「ルネサンス期のフィレンツェの大銀行家、メディチ家の紋章に描かれた赤い球は丸薬といわれ、祖業は薬種問屋、あるいは医師とされる。そのメディチ家は15世紀、もうかる投資機会は独り占めにし「金のなる木」から外部投資家を締め出した。資本の蓄積が進んだ時代だった。」

他人のカネを使って会社を大きくしておきながら、軌道に乗ったら、一般株主を追い出して、利益を独り占めというスキームだとしたら、けしからん話です。そういうスキームを、企業価値向上のためだといって、取引所や金融庁や経産省が推奨しているのも不思議です。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事