会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ソニー、映画事業で1121億円の減損見通し(朝日より)

ソニー、映画事業で1121億円の減損見通し

ソニーが映画事業で1121億円の減損を計上するという記事。

「主な対象は、1989年に買収したコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント社の営業権。権利を得た映画のDVDやブルーレイディスクの市場が縮小し、将来の収益見通しを引き下げざるを得なくなったという。」

映画事業では一度大きな減損を出しているはずですが、その後も回復していなかったということでしょうか。

また、30年近く前の買収のつけが今頃回ってきたというのも、のれんの償却をしない米国基準だからともいえそうです。

映画分野の営業権に関する減損計上のお知らせ(ソニー)(PDFファイル)

「現在進めている映画製作事業の収益性改善に向けた施策及び、テレビ番組制作、メディアネットワーク事業の更なる拡大により、映画分野は将来の利益成長を見込んでおり、引き続きソニーにとって重要な事業と位置付けています」と述べているのに、のれん減損処理を行うのは矛盾しているようにも思われますが、減損処理と将来のためのてこ入れは別だということなのでしょう。簿価を減らして身軽になれば、事業の売却などもやりやすくなります。

また、減損処理のグルーピングも関係しているのかもしれません。

「映画分野には、営業権の報告単位として「プロダクション・アンド・ディストリビューション(映画製作事業とテレビ番組制作事業に相当)」と「メディアネットワーク」の二つがあります。

2016年度第3四半期においてソニーは、全事業分野について定期的に行っている将来の収益計画レビュープロセスの一環として、映画分野においても、実績や事業環境の変化等を踏まえ、2017年度から2019年度の収益計画を新たに策定しました。この新しい収益計画にもとづいて第一ステップの確認を行ったところ、二つの報告単位のうち、「プロダクション・アンド・ディストリビューション」の見積公正価値が減少し、純資産額を下回りました。これは、前述の理由により、将来の収益見通しを下方修正したことによるものです。 」(プレスリリースより)

推測になりますが、1989年の時点で、「メディアネットワーク」ではなく「プロダクション・アンド・ディストリビューション」に相当する事業の価値を見込んで買収価格を決めたとすると、のれんは後者に配分され、減損テストを行うことになるのでしょう。「メディアネットワーク」の成長が見込まれるとしても、それは、買収したあとに生じた自己創設のれんでしょうから、買収時に計上したのれんの評価とは切り離さなければならないということになります。

ソニー、映画事業で減損損失1121億円を計上(日経)

映画事業分離の話もあるようです。

「ソニーの映画事業に関しては、2013年に米投資会社のサード・ポイントが株主提案として映画・音楽事業の分離上場を要求し、ソニー側が提案を退けた経緯がある。

今年に入って映画・音楽事業を統括する担当執行役でソニー・エンタテインメント最高経営責任者(CEO)のマイケル・リントン氏が2月に執行役を退任すると発表。米紙ニューヨーク・ポストなどはソニーが映画事業の売却を模索していると伝えていた。ただ、30日にソニーが発表したプレスリリースでは「映画分野は将来の利益成長を見込んでおり、引き続きソニーにとって重要な事業と位置づけている」としている。」

ソニー、第3四半期に映画部門で減損1121億円計上(ロイター)

「映画製作収益の下方修正は、ホーム・エンタテインメント(BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売)事業の収益見通しを引き下げたため。ただ、同社は収益性の改善に向けた施策やテレビ番組制作、メディアネットワーク事業の拡大に取り組んでおり、映画分野は将来の利益成長を見込める重要な事業である、としている。」

こちらの映画はソニーではなくワーナー・ブラザーズの配給です。

田舎のさえない会計士、実は殺し屋「ザ・コンサルタント」の特別映像が公開(角川)

ソニー映画事業の減損は「なぜ今」だったのか(ダイヤモンドオンライン)
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