東京証券取引所による日興コーディアルグループ株の上場維持決定に関する記事。
上場維持自体は非常に常識的な結論だと思います。監査実務への影響を考えると、日興のケースのような相当悪質な利益操作でも上場廃止にならなかったということで、監査人も過年度の重大な修正事項を見つけた場合には、訂正報告書を出すよう会社に要求しやすくなるはずです。
上場維持という結論はいいとして、日興の事件では、なぜベルシステム24は連結しなくてもよいのかなど、会計上の疑問点は全然解決していません。本来は、あと1年ぐらい監理ポストにしておいて、徹底的に調べ、かつ議論すべきでしょう。また、1年もすれば、本当に経営陣が刷新されたのかを見極めることもできます。
ところで、日興が上場維持だということになると、債務超過だったカネボウは別として、西武鉄道やライブドアは、なぜ急いで上場廃止してしまったのでしょうか。刑事事件になったから廃止にしたのだとすると、検察官が上場廃止を決めることになります。
日興上場、東証が維持 不正「組織ぐるみ断定できず」
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粉飾により株価を上げるのは許されないとしても、日経などによる上場廃止の誤報による株価下落の責任は誰が取るのでしょうか。それまで監査人のせいにしてもらっては困ります。
日興コーディアルのプレスリリース(PDFファイル)
本紙「日興、上場廃止へ」報道の経緯
日経が2月28日の誤報に関して説明した記事。「日興が訂正有価証券報告書を提出した2月27日には行政当局筋は「(訂正報告書の提出後でも)廃止の方向は覆らない」と明らかにした」とのことで、金融庁の官僚がいったことを疑わずに(よく調べもせず?)書いてしまったようです。
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