会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

日鉄鉱の19年3月期、純利益10%増、チリ子会社で不適切会計 (日経より)

日鉄鉱の19年3月期、純利益10%増、チリ子会社で不適切会計

日鉄鉱業(東証1部上場)が、不正会計発覚で延期していた2019年3月期の決算発表を行ったという記事。

「日鉄鉱業は29日、2019年3月期の連結純利益が前の期に比べて10%増の53億円だったと発表した。チリ子会社で発覚した不正会計をただすため売上原価に9億円を計上。増益率は前の期の純利益を48億円に訂正したうえで計算した。特別調査委員会の報告書に基づき過去にさかのぼって決算数値を訂正するため、この日まで決算発表を延期していた。」

「銅事業のチリ子会社、アタカマ・コーザン鉱山特約会社の不正な会計処理や私的流用をただすため売上原価がふくらみ、営業利益は12%減の74億円だった。」

会社のプレスリリース。

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信等の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)

「AK社の2017年12月期及び2018年12月期の決算において、AK社の前々副社長の主導により、A K社の損益を実際より良く見せるために、本来は製造原価や一般管理費として計上されるべき労務費等を建設仮勘定に振り替えて資産計上することによって、建設仮勘定が約8百万米ドル過大 計上となり、本来の費用の計上が繰り延べられて過少計上され、AK社の2017年12月期及び2018 年12月期の利益が 過大計上されていたことが判明いたしました。」

「特別調査委員会の設置前に実施されたAK社の社内調査により、請負業者に対する前渡金として資産計上されている残高約2百万米ドル(2018年12月末時点)について、精算されることなく滞留していることが疑われました。...請負業者の雇用維持等を目的とした支出の精算未処理、精算不能な前渡金に対する損失の不計上、費用への振替や負債との相殺の未処理など、主として前渡金計上後の精算に係る誤謬が判明いたしました。」

「本件調査において、AK社の前々副社長らが、少なくとも請負業者2社に自宅の補修や私生活上の自宅への移動などの私的な役務を提供させ、その費用をAK社に上乗せ請求させることにより、AK社に少なくとも約29万米ドルの費用を負担させる不正流用を行っていたことが判明いたしました。また、前々副社長の退任後も、前副社長が前々副社長の私的流用を容認していたことも判明しております。」

不正疑惑発覚後の対応もまずかったようです。経理部長が責任を問われています。

「平成31年2月4日に平成31年3月期第3四半期決算短信及び業績予想の修正に関する適時開示を行った後、同年2月7日に当社経理部長は、AK社社長代行からの報告によりAK社の財務諸表に計上されている建設仮勘定の残高が10億円程度と過大に計上されている可能性があることを把握いたしました。

これを受けて、当社経理部長は、過年度遡及修正の可能性を認識しながらも、不確かな情報を基に四半期報告書の提出を遅らせることはできないものとし、また、遅らせたとしても延長後の提出期限に間に合わないことを危惧し、監査役、監査法人に過年度遡及修正の可能性に関する情報を伝えませんでした

以上により、当社経理部長は後に訂正することを見込んだうえで四半期報告書を2月14日に提出したものであると認定されました。」

監査法人に相談していたら、少し待て、ということになったでしょう。提出予定日の1週間前になって、こういう情報が入ってきた場合にどうするか、というのはなかなか難しい判断だとは思います。

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