《注目の金融庁 夏の人事》ビッグモーター事件で“士気”は爆上がり トップは「えこひいきの申し子」の声も
金融庁の2人の幹部(長官と監督局長)を、人事にからめて取り上げた記事。文春ですがスキャンダルではありません。
「ビッグモーターによる保険金不正請求問題で金融庁から業務改善命令を受けたSOMPOホールディングスは1月26日、記者会見を開き、経営トップを務める櫻田謙悟グループCEOが責任をとって3月末で退任するなど、経営陣の刷新を発表した。
このビッグモーター問題にあたった金融庁長官の栗田照久氏、および監督局長の伊藤豊氏は、入省年次が2年違うものの、年齢は同じ。だが、その道のりは対照的だ。そして早くも2024年夏の定期人事異動での去就が注目されている。」
「2024年夏の定期人事異動でその去就が注目される2人」なのだそうです。
会計基準についてふれているところが気になりました。
「現長官の栗田は伊藤より1年遅れて、1999年7月に金融監督庁の長官官房総務課に異動した。入省以来、経済企画庁や調査企画課を経験し、経済分析に手腕を発揮しつつあった。...
2007年に渡辺喜美金融相の秘書官に起用された頃には、将来の幹部候補という見方が庁内でじわじわと広がっていた。
転機となったのは2011年、企業開示課長の時だ。日本でも国際会計基準(IFRS)を導入するべきかどうか、公認会計士や企業の財務担当者の意見が真っ二つに割れ、収拾がつかない状況に陥った。そこで打開策を示したのが栗田だった。折衷案に当たる「日本型の国際基準」を国内で検討する方向を示したのだ。
会計の世界に関心を持つ渡辺との信頼関係を生かし、公認会計士業界の後ろ盾である塩崎恭久元官房長官らも説き伏せた。
「政治的にやっかいな折衝でも知恵を出して乗り切る。大蔵官僚の一つのタイプだと思った」
当時の栗田の働きぶりを知る元金融庁幹部はそう評する。ファイナンスや会計の知識を武器にした「金融官僚」の先駆けだった。」
「日本型の国際基準」というのは「修正国際基準(JMIS)」のことでしょうか。修正国際基準を作るという案が出されたのは「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」という企業会計審議会の報告書(2013年)だと思いますが、現長官が企業開示課長だった時期(ネットの情報によると2011年から2013年)とだいたいかさなるようです。記事では、「日本型の国際基準」検討が、功績であるかのように書いていますが、今となっては、全く無駄なものを作ってしまったという印象です。しかし、現長官肝いりのプロジェクトだとすると、早期に廃止はできず、自然消滅を待つしかないのかもしれません。あるいは、長官が退任後、廃止案が出てくるのか...。
そのほか、現監督局長は、竹中平蔵が嫌いらしいということもわかりました(記者の見方を反映しているだけなのかもしれませんが)。
「伊藤ら再生機構の幹部が最も悩んだのは、竹中が破綻に追い込んだ足利銀行の融資先である鬼怒川周辺の温泉旅館・ホテル群の問題だった。自力で再生できる経営者や、引受先を見つけられる施設はごくわずかで、大半の旅館やホテルは廃業するしかなかった。
「都会と違って従業員の転職先が見つからなかった。精いっぱいやったが、多くの仲居さんや女性従業員が失業してしまった。シングルマザーも多かったが、手を差し伸べることができなかった。伊藤さんもずいぶん辛そうにしていました」
伊藤と一緒に仕事をした再生機構の幹部は、当時の心境をそう打ち明けた。」