新国立競技場が、東京五輪時には屋根なしになるという記事。
「2019年春の完成を目指す新国立競技場(東京都新宿区)について、下村博文・文部科学相は18日、都庁での舛添要一知事との会談で、当初計画にあった競技場の屋根は大会後に整備し、8万人の観客席の一部を仮設とする考えを明らかにした。それぞれ20年東京五輪・パラリンピックに工期が間に合わないことや建設費の削減の必要性を理由に挙げた。」
都知事が詳しく書いています。
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【舛添都知事日記】新国立競技場の建設について、誰が最終的に責任を持つのか!?(現代ビジネス)
「新国立競技場建設の責任者はJSC(日本スポーツ振興センター)であり、その監督官庁は文科省であるが、解体までの不手際を見ても、これらの組織が然るべき能力と責任意識を有しているのかどうか、はなはだ疑問である。私なりに、過去の経緯を調べ、専門家、業者などにも聞き取りを行った。その結果は、恐るべき事態になっていた。
まず、整備については、1,692億円ではとても済まず、2,500億円を超えるという。また、工期については、屋根付きでは間に合わないし、屋根を付けなくても間に合わないかもしれないという。前年の2019年には新国立競技場でラグビーのワールドカップが行われるが、そのときまでに完成させることができるのかどうか。
新国立競技場建設の責任者に能力、責任意識、危機感がないことは驚くべきことであり、大日本帝国陸軍を彷彿とさせる。日本を戦争、そして敗北と破滅に導いたこの組織の特色は、壮大な無責任体制になる。東京裁判の記録を読めばよく分かるが、政策決定について誰も責任をとらないし、正確な情報、不利な情報は上にあげない。新国立競技場建設について、安倍首相には楽観的な情報しか上がっていなかった。これは、各戦線での敗北をひた隠し、「勝利」と偽って国民を騙してきた戦前の陸軍と同じである。」
「さらに付け加えれば、2020年大会後の後利用の展望も定かではない。8万人もの観客を動員できるイベントは、そう多くはない。施設の運営は赤字続きということになってしまわないか。大会後に負の遺産(レガシー)を残すとすれば、それは設計・建設段階での詰めが甘かったということである。」
東芝の事件でも、原価の見積もりということが問題となっていますが、そちらはしょせん民間企業の問題であり、正確な情報が提供されなくても、損失を被るのは株主であり、その責任は経営者がとるということは明確です。虚偽記載がはっきりすれば、金融庁から何らかの処分があるでしょう。しかし、新国立競技場の問題は、国や都の税金で賄うという話ですから、一般の国民にとってははるかに重要な問題です。官のディスクロージャーもきちんとやってもらわないと困ります。(やらなくても処分されることはなさそうですが)
新国立競技場:相次ぐ計画見直し 甘かった当初の見積もり(毎日)
「2013年9月に開催が決まったが、招致段階で新国立競技場の総工費は1300億円だった。しかし、基本設計を立案する段階になり、総工費は3000億円規模まで膨らむことが明らかになった。課題だった国民世論の支持率を高め、招致を実現するため、予算を低く見積もったことのツケが回ってきている。」
悪評紛々の新国立競技場で本気見せた大成、竹中の思惑(2014年11月)(ダイヤモンドオンライン)
「・・・JSCは建物本体の建て替え工事をスタンドと屋根の2工区に分けて発注するため、10月10日にゼネコン各社の技術提案を締め切った。ゼネコン関係者たちの間で本命として名前が挙がるのは、スタンド工区では大成建設、屋根工区では竹中工務店だ。・・・」
この工事を受注するゼネコンの監査人は、工事進行基準の適用について厳しく監査する必要がありそうです。(実際にこの2社が受注したかどうかは未確認です。)
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