会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業会計審議会第42回監査部会 議事次第(監査基準改訂案提示)(金融庁)

企業会計審議会第42回監査部会 議事次第

4月24日に開催された企業会計審議会第42回監査部会の会議資料が、金融庁のサイトに掲載されています。

それによると、監査基準の改訂案が示されたようです。ただし、ペンディング事項もあり、最終版ではないのでしょう。

いわゆるKAM(案では「主要な監査上の検討事項」という名前になっています)を導入するというのが主たる内容で、報告基準に関わるその他の改訂事項も含まれています。

KAMに関しては、平成 33 年3月決算から適用(早期適用可)、その他は平成 32 年3月決算から適用です。

KAMを適用する会社の範囲については、今後関係法令で決めるようです。「「主要な監査上の検討事項」の適用に関する取扱いについて」という資料で、論点をいくつかあげています。

公開草案が正式公表されたら、少し詳しく紹介したいと思います。

とりあえず、今回の改訂案より。





報告基準の七1は、国際監査基準の規定と似ていますが、微妙に違っています。



国際監査基準(ISA701)では、監査人が注意を払うことが必要だった事項(those matters that required significant auditor attention in performing the audit)というふうになっていますが、改訂案では単に「特に注意を払った事項」となっています。注意を払うべき事項について、すべて注意を払った場合には、同じになるのかもしれませんが。「当年度の財務諸表の監査において」という文言の位置もおかしいようです(「特に注意を払った事項」の直前に入れるべきなのでは)。

また、国際監査基準の「統治責任者とのコミュニケーションを行った事項から(from the matters communicated with those charged with governance)」という箇所は、「監査の過程で監査役等と協議した事項の中から」となっています。国際監査基準では、統治責任者(会計士協会の監査基準委員会報告書では「監査役等」)とのコミュニケーションという別の基準書があり、コミュニケーションすべき事項がはっきり決まっているわけですが、今回の改訂案では、実施基準の「監査人は、監査の各段階において、監査役等と協議する等適切な連携を図らなければならない。」という漠然とした規定(改訂対象外)しかなく、不十分なように思われます。また「協議」という言葉も、監査役等の了解をもらわないといけないような印象を与え、不適切です。コミュニケーションは、了解を得なければならないというニュアンスはありません。もちろん、意見交換した結果を参考にするのはいいのですが、最終的には監査人が決定する事項でしょう。

国際監査基準(関連するもの)はこちらのページから入手可能です。

監査報告に関する動向~監査上の主要な事項(Key Audit Matters)~(日本公認会計士協会)

シリーズ「監査報告書の透明化」(4) 我が国における対応─監査基準の改訂に向けた企業会計審議会監査部会の動向(トーマツ)
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