米ウィーワークの新規株式公開(IPO)の目論見書には必要な情報が欠けているとアナリストが言っているという記事。
「米ウィーワークの新規株式公開(IPO)の目論見書は、同社の財務モデル構築に必要な情報が欠けていると、IPOの分析に特化したアナリストが指摘した。
トライトン・リサーチのレット・ウォレス最高経営責任者(CEO)はウィー・カンパニーについて、ユニットエコノミクス(顧客1人当たりの採算性)を隠すため多大な努力を費やしたに違いないと分析した。ウィー・カンパニーのIPOは今年2番目の規模となる見通しで、調達額は約35億ドル(約3720億円)と見込まれている。」
「ウォレス氏はインタビューで、「IPOの目論見書は難読化の傑作だ」とし、「基本的な事実がポジティブなのであれば、そこまで手間を掛けて理解できないようにする必要があるだろうか」と疑問を投げ掛けた。」
「難読化」は、英語ではObfuscationというそうです。なかなか見ない単語です。
米国では、政府文書のプレイン・イングリッシュの運動が盛んだと聞きますが、民間企業の目論見書は、読者を煙に巻く方がよいのでしょう。
記事原文。
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WeWork Analyst Warns IPO Filing a ‘Masterpiece of Obfuscation’(ブルームバーグ)
共有オフィスの米ウィーワーク上場へ ソフトバンク1兆円投資(2019年4月)(SankeiBiz)
「共有オフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーは29日、新規株式公開(IPO)に向けて米証券取引委員会(SEC)に書類を提出したと発表した。ソフトバンクグループが大株主で、投資額は100億ドル(約1兆1000億円)を超える。」
ウィーワーク「シェアオフィス」黒字化へ遠い道
債務超過脱せず、大企業「法人会員」に熱視線(東洋経済)
「高尚な理念を掲げる一方で、直近の業績は芳しくない。2018年12月期は売上高約18億ドルに対して、最終損益は約16億ドルの赤字。直近の2019年上半期(1~6月)も、売上高約15億ドルに対して赤字幅は約7億ドルとなった。」
「ウィーカンパニーは、赤字の理由を成長のための新規出店にかかる費用が先行しているためだと強調する。オフィス開業には内装工事費や広告宣伝費がかさむうえ、開業時のシェアオフィスの稼働率は52%にとどまる(2018年実績)。一般的なオフィスビルなら損益分岐点を下回りかねない数字だ。
それでも、6カ月が経過すると稼働率は84%にまで上昇し、損益分岐点を超え、開業から2年後には安定的に収益を生み出すようになるという。ただ、黒字化した拠点は今年6月時点で全体の3割にとどまり、残る7割は開業からまだ日が浅く、十分な収益がまだ生み出せていないようだ。
2018年は、売上高から施設運営にかかる費用と販売管理費を差し引いただけで1.6億ドルの赤字。出店にかかる先行投資負担が軽くなっても、黒字転換への道のりは険しい。債務超過状態が続く中、現状はソフトバンクなど投資家からの出資で補填しているのが実態だ。」
こちらも米大手新興企業の記事。
テスラは公開会社として失格 急速に価値を喪失(Forbes)
「マスクが持つ最も優れたスキルは、資金調達能力だ。だが、過去5年間に新たに調達した資金(200億ドル、約2兆1280億円を超える)は、テスラの損失をさらに膨らませ、レバレッジ比率をはるかに高く引き上げることにつながった。」
「筆者はどの企業についても、評価するのに最適な期間は5年だと考えている。2014年と2019年の第2四半期(4~6月)の業績を見れば、驚くべ数字が示されている。
発行済み株式の総数は、この間に44%増加。負債は450%増えた。営業赤字も大幅に増えている。2014年第2四半期は2875万ドル、2019年同期には1億6745万ドルだった。理解し難い数字だ。」
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