証券取引等監視委員会が、金融庁に対し不動産投資信託(REIT)運用のダヴィンチ・セレクトを行政処分するよう勧告したという記事。
グループ内のファンドが保有する不動産を系列REITに割高な価格で取得させたとのことです。
株式会社ダヴィンチ・セレクトに対する検査結果に基づく勧告について
「株式会社ダヴィンチ・セレクトは、DAオフィス投資法人との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている当該投資法人の資産の運用において、当該資産に組み入れる不動産の取得時に行うべき資産の評価手続き等の際に、鑑定を依頼した不動産鑑定業者に対し適切な資料を提示しなかっただけでなく、適切な資料を提示しなかったことによって算定された鑑定評価の内容を確認しなかったことなどから、誤った鑑定評価内容が看過され、結果として過大に算定された鑑定評価額を基に投資法人の資産の取得を行うなどしていた。」
DAオフィス投資法人の監査人は、不動産取得時の時価評価額をきちんと検証していたのでしょうか。
ある本を立ち読みしていたら、REITは動機が不純だから投資の対象とすべきではないというようなことが書かれていました。要するに、わが国では、不良資産(不良資産ではなくても過大な資産)をバランスシートから有利な条件で切り離すことがREITの目的だったわけで、投資家の利益などほとんど考えていないのです。
監査人もそうした背景を十分理解した上で監査すべきでしょう。
DAオフィス投資法人のプレスリリース(PDFファイル)
このプレスリリースによれば、過大評価されていたのは2物件で過大評価額は1億4000万円程度であり、たいした金額ではありません。しかし、不動産評価は幅のあるものなので、明らかな間違い以外に、不動産購入先(売り手)に有利な理屈をつけて評価していた物件があったかもしれません。
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